日本の株式市場に上場するバイオスタートアップの株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2022年1月21日金曜日の終値が、前週の週末(1月14日)の終値に比べて上昇したのは5銘柄、不変だったのは3銘柄、下落したのは42銘柄だった。

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 この間、上昇率の第1位はキャンバスで+21.3%だった。第2位は窪田製薬ホールディングスで+19.2%、第3位はユーグレナで+1.8%と続いた。一方、下落率では大きい順にスリー・ディー・マトリックスが-18.8%、ステラファーマが-18.4%、ステムリムが-15.0%となっている。

窪田製薬ホールディングス(180円、前週比+19.2%)

 1月18日に169円(前日比+14.2%)を付けた。同日、窪田製薬ホールディングスは、以前から開発を続けてきた遠隔医療眼科網膜モニタリング機器「PBOS」について、国内の診療所において臨床研究を開始したことを発表した。これに株価が反応した格好だ。

 PBOSは、網膜の状態を確認するための検査に用いられるOCT(光干渉断層計)を超小型にした機器で、患者が自宅や遠隔地で検査を受けられるようにするために開発が進められている。加齢黄斑変性などの疾患で網膜を高い頻度でチェックできれば、適切な時期に投薬や治療が受けられるようになり、治療効果や生活の質(QOL)向上などに貢献すると期待されている。

 今回の臨床試験の位置付けは、医師による使用感の確認が目的であり、日本における承認申請のための性能評価試験ではない。ただし、今後PBOS開発のパートナリングや臨床試験実施において、日本人での試験実績が重要になると考えられ、そのハードルを1つクリアしたことにはなる。同社はPBOSの国内外の開発に際してパートナー探しを進めている段階で、臨床試験の実施および実用化の時期は、パートナリングの成否に大きく依存するようだ。

 また、同社はかけるだけで近視の進行を抑制するデバイス「クボタメガネ」の開発を進めている。こちらは、2021年内に台湾でテスト販売することを計画していた。しかし、COVID-19の流行などにより、部品調達や製造など様々な面で進捗が遅れたため、2021年12月に業績を下方修正すると同時に、クボタメガネの販売時期を未定の状態に戻している。

 こうした状況から、同社の今後のスケジュールとして最も確度が高いイベントは、エミクススタトのスターガルト病に対する第3相臨床試験の結果発表で、2022年秋以降が想定される。この結果により導出および販売の道筋が立つかどうかが、今後のポイントになってきそうだ。

スリー・ディー・マトリックス(466円、前週比-18.8%)

 1月21日に466円(前日比-5.3%)を付けて3日続落となり、本稿で紹介しているバイオ企業50銘柄の中で、前週に比べて最も下落した。同社は12月中旬から株価が上昇し、一時は600円を超えていたが、ここへ来て足踏みが続いている。

 同社は2021年12月中旬から値上がりを始めていた。同社の主力製品である吸収性局所止血材「ピュアスタット」は、12月1日に日本で保険適用され、医療機関による保険請求が可能になった。ピュアスタットの浸透は順調で、日本で内視鏡治療に強いトップ150病院のうち6割、またそれらに続く規模の250病院でも4割ほどで採用済み、またはトライアルに至っているという。このため2023年4月期の黒字化達成に対して期待感が高まっている。

 さらに、ピュアスタットなどの製品を製造する委託先として、これまで依頼していた扶桑薬品工業の後継として、ドイツのPharmpure社と契約したことも追い風となった。製造供給面のリスクが払拭されたことが買い材料となったようだ。

 ただ、ここへ来てマザーズ市場全体として株価が低調となっているのに加え、12月中旬からの株価上昇によって移動平均線との乖離(かいり)率の高まりもあり、株価が調整に入ったと考えられる。今後、同社が目標とする2023年4月期の黒字化に向け、粘膜隆起材「ピュアリフト」の保険収載、米国での順調な立ち上がりなどが確認されれば、回復に向かうのではないか。

 なお、スリー・ディー・マトリックスはピュアスタットにも用いられている自己組織化ペプチドの応用先として、ドラッグデリバリーシステム(DDS)を柱に据えて研究を進めている。注目は、2022年1月20日に発表された広島大学のニュースだ。抗がん作用のあるマイクロRNA(miRNA)を悪性胸膜中皮腫の患者に投与する医師主導治験が同大学で開始されたが、そのmiRNAを体内に効率よく届けるために使われているのが、スリー・ディー・マトリックスが提供したA6Kというペプチドだ。これまでにも国立がん研究センターでRNA干渉を目的とした医師主導治験にも使われてきたが、今回の治験で改めて注目が集まりそうだ。

 米Moderna社やドイツBioNTech社のCOVID-19ワクチンにも、mRNAを細胞にデリバリーするために脂質ナノ粒子(LNP)がDDSとして活用されている。RNAのデリバリーにはLNPを使うケースが多いが、スリー・ディー・マトリックスはペプチドを用いていることから、細胞毒性や導入効率で何らかの差異を見いだせる可能性がある。今後、mRNAやmiRNAを活用したRNA医薬はがんや炎症など様々な疾患への応用が見込まれており、同社もRNA医薬関連銘柄としての認識が広まれば、伸びていく可能性もあるだろう。

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順位社名株価(終値)騰落率
1月14日1月21日
1キャンバス23929021.3%
2窪田製薬ホールディングス15118019.2%
3ユーグレナ6816931.8%
4フェニックスバイオ4965021.2%
5クリングルファーマ7027070.7%
6メディネット48480.0%
7テラ97970.0%
8Green Earth Institute159715970.0%
9ジーエヌアイグループ14021396-0.4%
10ペルセウスプロテオミクス365363-0.5%
11免疫生物研究所350348-0.6%
12メドレックス115114-0.9%
13ソレイジア・ファーマ104103-1.0%
14オンコセラピー・サイエンス6968-1.4%
15ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ589579-1.7%
16サスメド18521810-2.3%
17デ・ウエスタン・セラピテクス研究所215210-2.3%
18カイオム・バイオサイエンス169165-2.4%
19セルシード168164-2.4%
20DNAチップ研究所429417-2.8%
21オンコリスバイオファーマ535520-2.8%
22アンジェス347337-2.9%
23総医研ホールディングス279270-3.2%
24ファンペップ233224-3.9%
25ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング536510-4.9%
26シンバイオ製薬10761021-5.1%
27タカラバイオ24932356-5.5%
28リプロセル223210-5.8%
29ペプチドリーム23732228-6.1%
30トランスジェニック427399-6.6%
31ラクオリア創薬11231045-6.9%
32ナノキャリア254236-7.1%
33カルナバイオサイエンス1066987-7.4%
34ステムセル研究所36953405-7.8%
35キッズウェル・バイオ467429-8.1%
36プレシジョン・システム・サイエンス491446-9.2%
37そーせいグループ17121552-9.3%
38セルソース46804220-9.8%
39ブライトパス・バイオ118106-10.2%
40レナサイエンス535477-10.8%
41メディシノバ305271-11.1%
42モダリス477421-11.7%
43Delta-Fly Pharma15201330-12.5%
44ヘリオス11881033-13.0%
45リボミック265229-13.6%
46サンバイオ13001121-13.8%
47ファーマフーズ19811700-14.2%
48ステムリム822699-15.0%
49ステラファーマ925755-18.4%
50スリー・ディー・マトリックス574466-18.8%