前々回とは別のシリコンバレー研修プログラムの中で、下記のような質問を受けました。

 「今自分は悩んでいます。上司からも取引先からも、とにかくがむしゃらにやれ、余計なことは考えるな、などと言われ、本当にこれでいいのかと考えるようになりました。どう思われますか?」

 これだけ聞けば、今どきの典型的なブラック企業の薫りが充満していますから、そんなところからはいち早く逃げろ、という回答になると思います。

 以上!で終わってもいいのですが、転職しても同じことの繰り返しになったとしたら成長も発展もないので、もう少し考えてみましょう。全ての人に当てはまるかどうかはわかりませんが、人から言われなくてもがむしゃらにできること、あるいはできる時期というのはあると思います。少なくとも私自身は20代から30代にかけて、そういう時期がありました。

 正直に言いますと、30年近くやってきていながら新薬の合成研究が自分の天職だと思ったことは無いのですが、それでも新薬開発を目指してほとんど脇目もふらずに仕事をしていた時期が何度かありました。これらのときには、自分が一生懸命やっていることに何の疑問も持たずに働いていたと思います。しかしある時、仕事の内容が変わり、本当にこれは自分や会社がやるべきことなのだろうかと疑問を持ったことがありました。

 その頃たまたま、上記とは全く別の理由で転職を考えていたので、結果的に転職の決心を後押しすることになりました。組織の中で自分がやっていることに疑問が生じるようになったら、やはりそれは黄信号なのではないでしょうか? 組織の方針にしても自分の考えにしても、正しいのか間違っているのかはその時点では分からないかもしれません。しかし直感的に何かおかしいと感じたら、論理的な根拠があろうが無かろうが、自分の直感に従った方が、後で後悔する可能性が低くなると私は思います。

 ですから最初の質問への私の答えとしては、自分の居場所や自分がやるべき仕事として、現在の状況が最適なのか、真剣に自分に問いかけるべきタイミングに来ているのではないか? もし違うかもしれないのであれば、転職も選択肢として考えるべきなのではないか?ということになると思います。もちろん何の疑問も生じない理想の職場などほぼあり得ないわけですが、だからといってどんどん大きくなる疑問を抱えたまま、ひたすら我慢し続ける必要も無いのではということです。