こちらのベンチャーは、様々な形でコンサルタントを活用します。典型的な例は、社外専門家の意見を求める場合です。スタートアップは社員数も少ないため、多岐にわたる新薬の研究開発の全ての領域を社内の人材だけでカバーできるはずもありません。そこで、事あるごとに該当領域の専門家をお招きしてセミナーをお願いし、さらに会社で抱えている問題について相談します。

 私たちはホウ素化合物に特化した研究を行っていましたが、もともとホウ素化学の専門家が集まったわけではありませんので、特に初期のうちは分からないことも多く、試行錯誤の連続でした。一方アカデミアには長年ホウ素化学の研究をしているエキスパートがいます。そういった先生方にアプローチすると、多くの場合は喜んで来てくれますので、セミナー&ラウンドテーブルのようなコンサルテーションをよく行いました。

 薬剤の剤形としては外用剤(塗り薬)の開発に注力していましたが、最初はクリームや軟膏などの製剤の専門家もいませんでしたので、製薬業界で豊富な外用剤の開発経験を有するエキスパートも何度かお招きしました。

 米食品医薬品局(FDA)の新薬の元審査官で、リタイア後に個人でコンサルタントをされているような方もいます。開発がフェーズIIに進んだあたりでそのようなコンサルタントに来ていただいて、フェーズIIIおよび承認申請に関する助言をもらったこともあります。

 このように外部の専門家に相談する場合、重要なことはこちらが持っている情報を全て開示することです。それぞれのケースで最初に秘密保持契約にサインしてもらいますし、とにかく持っているデータや情報は全て提供することで、初めて有益な助言も得られます。

 私は日本の会社に在籍してコンサルタントを迎えた経験と、自分がコンサルタントとして日本の会社とお付き合いした経験と両方ありますが、いずれの場合も重要なデータは出さない、見せてもらえない状態で、助言を求めたり、求められたりしました。コンサルタント側になると特に実感しますが、肝心なデータの提供も無い状態で、良い助言などできるはずがありません。

 上記よりもシンプルなケースとしては、個人事業主としてコンサルティングビジネスをしている人に、研究開発業務の一部を委託することもあります。ある程度の実務経験を積んだ後に、レイオフなどをきっかけとして、独立のコンサルタント業を始める人がたくさんいます。これはCROに業務委託するのと基本的には同じ形態ですが、on siteなので何かと融通が利くという利点があります。

 実際のところ活用術などと改まることなく、こちらではこういったことが日常茶飯事に行われています。つくづくフレキシブルだなあと思います。