日本の多くの会社のように新卒一括採用システムを取っている場合、入社同期というものがあります。同期というのはお互いにライバルでもありながら強い連帯感を生む場合が多く、生涯の友になることさえあり、いい部分もたくさんあります。

 シリコンバレーのベンチャーではいわゆる通年採用が一般的で、ポジションが生まれたときに募集し、一度に複数のポジションが出た場合でも、1人ひとり採用します。ですから、たとえ近い時期に入社した同僚がいる場合であっても、日本的な入社同期という概念はありません。

 ところがこちらでは、別の種類の同期が存在します。それはレイオフがあった場合です。レイオフのサイズは数人から数十人、数百人と色々ありますが、まとまった人数の社員が同じ日に一斉に退社しますので、言ってみれば退社同期ということになります。

 一緒にレイオフになると、対象者は全員次の仕事を探し始めたりしますので、そのメンバーでメーリングリストを作ったり、定期的に情報交換会をしたりということがよくあります。そのためちょっと皮肉な感じではありますが、会社にいた時よりも親密度が増すことさえあります。

 日本の入社同期は普通は何度もできませんが、アメリカの退社同期はレイオフに遭うたびに何度でも違うグループでできる可能性があります。実際、複数回のレイオフを経験している人はごまんといます。

 レイオフというと恐ろしいものという印象をお持ちの人も多いかもしれませんが、必ずしもそうばかりとは言い切れません。あくまで会社都合であって、基本的に当事者の過失ではありませんし、必ずではありませんが、それなりのパッケージが付いてくることも多いからです。このパッケージというのは、severance packageやseparation packageなどと呼ばれるものです。その内容には色々ありますが、メーンとなるのは退職金のような形で、向こう数カ月分の給料を余分にもらえたりすることです。未消化の有給休暇も、通常は換金されますし、医療保険を含めた福利厚生関係のサポートもあったりします。

 自分が勤める会社の先行きが怪しいために、そもそも転職を検討していた場合など、自分から転職すると上記のパッケージは一切得られませんが、レイオフになれば得られるので、むしろラッキーと感じるケースさえあります。究極は、いわゆる会社そのものが成功裏なexitになった場合で、大手による買収などによってvestしていなかったストックオプションまでも含めて全て買い上げられるようなケースです。

 入社同期の話からレイオフの話になってしまいましたが、私自身、こちらで経験した2つのバイオベンチャーの両方とも、最後はレイオフによって退社することになりましたので、このトピックになるとつい色々と語りたくなってしまいます(笑)。