シリコンバレーというと、起業家の聖地というイメージをお持ちの方が多いと思います。それはその通りなのですが、だからといって起業家ばかりがいるわけではありませんし、誰もが起業家である必要もありません。当たり前のことではありますが、そんなお話を。

 一般論として、起業家だけがいてもビジネスは回りませんし、そもそも始まりさえしません。スマホアプリの作成のようなビジネスであれば、中には全てを1人でやってしまうような人もいますが、バイオ系のスタートアップになると、研究も開発も1人でできることではありませんから、複数の人たちの参加があって初めて会社は動きます。

 そういう意味で、いわゆる一般社員もスタートアップの必須アイテムなのです。自分がファウンダーにならなくても、誰か他の人が起こした会社に加わって、そこの戦力となることで活躍する道はたくさんあります。ご存じの通りシリコンバレーでは日々、多くのスタートアップが生まれているからです。

 そしてそういった一般社員であっても、会社が成功した暁には、ストックオプション制度により思わぬ大きなリターンが得られる場合もあります。もちろんスタートアップが成功する確率は高くはありませんが、ゼロでもありません。そしてチャンスは1回きりではありません。

 ベンチャーキャピタルは、複数の企業に分散投資することでリスクを管理し、トータルでのリターンを狙います。これに対して個人は、一度に複数の会社で働くのは困難です。コンサルタントとして複数の会社と契約する場合もありますが、大きなリターンを期待するためには、フルタイム社員として1つの会社にコミットする必要があります。そして重要なことは、かなり早い段階で加わることです。

 早い段階というのは、できればシリーズAか、遅くともBあたりまででしょうか。ベンチャーのリスクは最初が最大です。研究開発が進み、ポジティブな結果が増えてくるにつれ、リスクは低下していきます。リスクとリターンの関係は常に比例しますから、ハイリターンを得るにはハイリスクを取る必要があるのです。

 スタートアップの成否は早ければ数年、遅くとも10年前後で大体めどがつきます。チャンスは1回きりではないというのはそういうことで、1社が駄目でも2社目、3社目と挑戦することが可能です。同時に複数の会社で働くのは無理だとしても、時間軸に沿って自分の労働力という資源を分散させて、生涯の間に複数の会社で働くことは可能です。そしてその中の1つでも当たればいいのです。

 これが、一介の研究員としてスタートアップに加わった当時の私が考えていた、一般社員としてのビジネスモデルです。もちろんこれは研究職に限らず、他の職種でも同様ですし、VP(バイスプレジデント)やDirectorなどのようにより高いポジションで加われれば、うまくいったときのリターンはずっと大きくなります。

 自分が起業したい人はどんどんすればよいと思いますが、そうでない人にも、スタートアップで活躍し成功する道はあるのです。そのためにはどんなスキルを身に付け、経験を積んでおくべきなのかを考えてみることは、年齢に関係なく意味のあることだと私は思いますが、いかがでしょうか?