シリコンバレー創薬騒動(第6回)

その見積もり時間は最短か?

(2017.03.29 00:06)
赤間勉=元Anacor Pharmaceuticals社, Research Leader

Is the timeline aggressive but possible?

 前回書いたcritical pathにおいて、その中の全てのタスクには、それぞれ予想必要時間(見積もり時間)があります。この仕事は2週間で終わるけれど、こっちは4週間かかるとか3カ月かかるとかいった具合です。今回のテーマは、それぞれの見積もり時間は本当に最短なのか?ということを確認するための質問です。

 仕事を担当者にアサインするとき、あるいは外注するときに、どれくらいの期間でできるかを聞くわけですが、期日を守れないリスクを避けるために、実際に必要な時間よりも長めな回答になる場合がほとんどです。しかしプロジェクトマネジメントの立場からは、全てがうまくいったとしたら最短どれだけの期間でできるのかを確認することが重要になります。

 この、究極的にどれだけ短くできる可能性があるのかというのが、「Is the timeline aggressive but possible?」という問いです。

 現実のスケジュールにはある程度のバッファ(予備日数)も含めるわけですが、実際にタスクそのものに必要な最短時間を把握した上でないと、無駄な時間が入り込む可能性が高くなります。実際のところはやってみないとわからないということも多いのですが、例えば薬剤の7日間投与でラットでの毒性の有無を見るといった試験の場合には、毒性が出ようが出まいが7日間で投与は終わり、あとは事前に決めた期間の観察をすれば試験は終わりますから、比較的簡単にスケジュールは立ちます。それでも最終的な報告書をどれくらいの時間で提出してもらえるかは、担当者や業者によって変わってきたりします。

 最初から期間を正確に見積もるのが難しいケースでも、もっと創意工夫の余地はないかなど、あらゆる可能性を熟考した上で、できるだけ正確に最短必要時間を見積もり、スケジュールを決めていこうということです。

 常にこれを問い続けることで、たとえ10年がかりのプロジェクトであっても1日1日を削ってゆくことができ、結果的に最短に少しでも近い形でゴールに到達することが可能になります。

 3回に渡って書いてきた3つの質問は、製薬業界に限らず、あらゆる業種のプロジェクトにおいても有用なのではないでしょうか。

赤間勉(あかま つとむ)
元 Anacor Pharmaceuticals, Research Leader
赤間勉 1964年生まれ。89年協和発酵工業(当時)入社。主に新規抗癌剤の合成研究を行う。2001年米Geron Corporation社(カリフォルニア州メロンパーク)入社。テロメラーゼ関連医薬の合成研究。03年米Anacor Pharmaceuticals社(カリフォルニア州パロアルト)入社。抗炎症薬および感染症治療薬の合成研究に関わる。この間、年を追うごとに趣味の料理に割く時間が増え、将来は飲食店の開業を目指している。ブログもやっているので、そちらも併せてご覧いただきたい。
 このコラムは、米バイオテク企業にスタートアップから参加し、大手製薬企業に買収されるまで同社で研究者として過ごした赤間勉氏による手記です。赤間氏は、協和発酵工業、Geron Corporation社を経て、2003年6月にバイオテク企業の米Anacor Pharmaceuticals社に入社し、2016年6月の米Pfizer社による買収を経て、2016年12月まで研究者として勤務しました。シリコンバレーに拠点を持つバイオテク企業の内側から見た実像を伝えていただきます。

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