(画像:123RF)
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 欧米製薬企業の2021年度決算がほぼ出そろった。各社が開示した年次報告書などの決算関連資料から医療用医薬品に関する売上高を抽出して、企業ランキングを作成した。2021年度の医療用医薬品売上高トップ10企業を速報する(表1)。

 今回の速報においては後発品、ワクチンの売上高を合算した。その一方で診断薬、一般用医薬品(OTC)、動物用医薬品、医療機器などの売上高は除いている。公表数字の単位通貨は米ドルの他、欧ユーロ、スイスフラン、英ポンド、日本円、デンマーククローネなど様々である。ランキングするために米ドル以外の通貨で売上高を発表した企業については、それぞれの通貨の年間平均の対ドルレートを使用して基軸通貨のドルに換算した。3月期決算の会社については、四半期情報を使用して暦年の売上高を算出した。

COVID-19関連で、順位は大きく変動

 トップは米Pfizer社である。売上高は812億8800万ドル(前年同期比94.0%増)、日本円に換算すると8兆9217億円となった。倍増レベルの増収率となったのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「コミナティ」(トジナメラン)の売上高が367億8100万ドル、約4兆円になったからである。同社は2020年11月に後発品事業部門を独立させたために2020年度の順位は7位まで落ち込んだ。しかし、コミナティによってトップに返り咲いた格好だ。

 mRNAワクチンに注目したPfizer社は2018年8月にドイツBioNTech社と組み共同で開発を実施してきた。それが今回のコミナティの上市につながり、巨額な売り上げを同社にもたらすことになったのである。製薬企業にとって、新しい技術へのアスセスが、いかに重要であるかを示す事例となった。

 第2位は、米AbbVie社で順位を1つ上げた。売上高は561億9700万ドル(前年同期比22.7%増)だった。2020年5月8日にアイルランドAllergan社買収を完了した。その効果が通期で寄与している。

 第3位は、スイスRoche社で順位を1つ下げた。売上高は525億7100万ドル(前年同期比10.7%増)。第4位は、米Johnson & Johnson社で520億8000万ドル(同14.3%増)。第5位は、前年度トップのスイスNovartis社。売上高は516億2600万ドル(同6.1%増)の増収を確保している。しかし、COVID-19関連の収入や企業買収の寄与があった企業に抜かれてNovartis社は順位を大きく下げることになってしまった。以上が、500億ドルを超える売上高を達成した企業である。

 以下、米Bristol Myers Squibb社、米Merck社、フランスSanofi社、英AstraZeneca(AZ)社、英GlaxoSmithKline社が続いた。特に注目するのがAZ社である。同社は2021年7月、米Alexion Pharmaceuticals社の買収を完了した。さらに、COVID-19関連の売り上げも計上。売上高は40.6%増と大きく伸びて、前年度の11位から9位に躍進した。その結果、前年度10位であった武田薬品工業はトップ10から押し出されることになった。

表1 世界の製薬企業トップ10(2021年度)
2021年度2020年度2019年度社名医療用医薬品売上高増減率
順位順位順位2021年度
172米Pfizer社81,28894.0%
237米AbbVie社56,19722.7%
321スイスRoche社52,57110.7%
444米Johnson & Johnson社52,08014.3%
513スイスNovartis社51,6266.1%
6610米Bristol Myers Squibb社46,3859.1%
755米Merck社42,754-0.6%
886仏Sanofi社39,4199.1%
91111英AstraZeneca社37,41740.6%
1098英GlaxoSmithKline社33,7229.3%
109武田薬品工業31,6107.5%
金額の単位は100万ドル。ドル換算は年間平均の為替レートによる。1ユーロ=1.184ドル、 1ポンド= 1.376ドル、1スイスフラン=1.095ドル、100円=0.912ドル、1デンマーククローネ=0.159ドル

 2022年4月5日にドイツBoehringer Ingelheim(BI)社が、2021年度の決算説明会を開催する。開示されたBI社の医薬品売上高を加えて「世界の製薬企業収益ランキング─2021年度」を報告する予定である。ご期待いただきたい。