猛禽類の生息地の保全は、それ以外の多くの生物の保全にもつながると仮定され、多くの生物多様性保全の現場で実践されています。しかし、猛禽類を指標種として、他の生物の個体数や繁殖成功度の高い地域を保全できるかどうかは長らく不明なままでした。本研究では、北海道苫小牧地方の湿原帯において、チュウヒという湿地性の猛禽類の繁殖成功度(巣立ち雛数)を3年間調べ、チュウヒの巣立ち雛数が多い湿地を明らかにしました。そして、チュウヒの巣立ち雛数が多い湿地で、他の小鳥の親鳥と巣立ち雛が多いかどうかを調べました。小鳥の繁殖成功度を広域的に調べるのは従来困難でしたが、小鳥の捕食者への警戒声を拡声器で流して、親鳥だけではなく巣立ち雛をおびき寄せる新たな手法を開発し、この課題を克服しました。その結果、チュウヒの巣立ち雛数が多い湿地では、複数種の小鳥の親鳥と巣立ち雛が多いことがわかり、チュウヒの巣立ち雛数から小鳥の巣立ち雛数を広域的に予測するモデルを作ることができました。これらのことから、チュウヒの繁殖成功度が高い湿地を保全すれば、その他の小鳥の繁殖成功度の高い地域も保全できることが明らかになりました。

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