持田製薬は2011年3月17日、子会社である持田製薬工場の本社工場(栃木県大田原市)について、製剤棟設備、製造機械等に甚大な被害があることが判明したと発表した。当面の操業開始については「めどが立っていない」としている。同工場では同社製品の全てを製造している。同社では、「基本的に数カ月の在庫があるが、在庫の薄いものは品薄となる可能性もある」としている。

 生化学工業は16日、高萩工場(茨城県高萩市)について、製剤機および製品倉庫の一部に損傷があり、被害状況を精査していると発表した。「断水の影響で設備を動かせないので確認は出来ないが、主力製品であるアルツを製造する製剤棟は、目視では大きな被害はない」(同社)とのことだ。ただし、同社のグループ企業でコンドロイチン硫酸の原料加工を行う三陸加工(宮城県気仙沼市)は津波の影響で甚大な被害を被っている。

 塩野義製薬は16日、抗生物質とがん疼痛治療薬を製造する金ヶ崎工場(岩手県胆沢郡金ヶ崎町)について、一部の建物・設備に被害が生じたと発表した。

 大塚ホールディングスは16日、連結子会社で臨床栄養製品の製造工場である花巻工場(岩手県)が、製造設備への影響から操業を停止したと発表した。

 田辺三菱製薬は15日、グループ会社の田辺三菱製薬工場鹿島工場(茨城県神栖市)、足利工場(栃木県足利市)について、建物・設備等に大きな被害はないが、操業を一時停止していると発表した。

 アステラス製薬は15日、生産子会社のアステラス東海の西根工場(岩手県八幡平市)とアステラスファーマケミカルズの高萩工場(茨城県高萩市)と、研究設備である合成技術研究所(茨城県高萩市)、つくば研究センター(茨城県つくば市)が被災したと発表した。

 ニプロは15日、子会社のニプロ医工の館林工場(群馬県)、東北ニプロ製薬の鏡石工場(福島県)で建物に破損を受けたと発表した。

 中外製薬は14日、宇都宮工場(栃木県宇都宮市)が被災したと発表した。

 第一三共は14日、子会社の第一三共プロファーマ小名浜工場(福島県いわき市)と平塚工場(神奈川県平塚市)の一部施設で損傷を受けたと発表した。

 あすか製薬は14日、いわき工場(福島県いわき市)の生産設備等の一部に被害が発生したと発表した。

 生産設備に影響が生じても、各社では一般的に数カ月分の在庫を有しているが、倉庫などが被害を受けた場合には安定供給が懸念される事態も生じている。

 あすか製薬のいわき工場で生産する甲状腺機能低下症治療薬「チラーヂンS」(一般名:レボチロキシンナトリウム)は局方品であり、同社が98%程度のシェアを有するとされている。同工場は高台にあって津波の被害は免れたものの、立体倉庫の被害が大きく在庫製品の出荷が出来ない状態となっている。供給は市中在庫に頼るしかないため、全国保険医団体連合会が16日、海外からの緊急輸入と海外への支援要請を行うよう内閣総理大臣および厚生労働大臣宛てに要請した。

 これに対してあすか製薬では17日、製造委託会社によるレボチロキシンナトリウムの生産、海外製品の緊急輸入、いわき工場の操業再開の3つの方策で、供給を再開する見通しを示した。「チラーヂンの製造棟は被害が大きくないので、近いうちに製造を再開できる可能性がある。市中在庫は1カ月程度と見ており、その間に3つの方策で欠品を出さないようにする」(同社)とのことだ。

 扶桑薬品工業の茨城工場も自動立体倉庫が被災したために出荷が出来ない状態となっている。このため同社は14日、同工場のみで製造している腎不全患者の血液ろ過透析(HDF)に用いる「サブラッド血液ろ過用補充液BSG」(人工透析液3-5キット)について、「立体倉庫が稼働するまで市中在庫のみとなるので、当面、慢性腎不全患者のHDF治療よりも急性期の患者の治療に優先使用するよう配慮する」ことを求めるリリースを出した。立体倉庫が稼働できない状況は、17日時点でも変わりがないということだ。なお、HDF用の血液ろ過用補充液は、味の素製薬、ニプロファーマなどでも製造しているという。

 また、第一三共は16日、アルツハイマー型認知症治療薬「メマリー錠」(一般名:メマンチン塩酸塩)の発売日を延期すると発表した。「稼働を停止している平塚工場で製造している製品であり、長期間服用を続ける薬なので安定供給のために慎重を期した」(同社)ということだ。

 むしろ、今後の医薬品の安定供給が懸念されるのは計画停電の影響だ。製薬企業からは「生産中にラインが止まるとGMP(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)が担保出来なくなる」と懸念する声が聞かれる。電力不足による計画停電が長期間継続すると医薬品の安定供給に影響が及ぶことも懸念される。(橋本宗明)

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