新春恒例となっているバイオ企業番付の2011年版を決定、日経バイオテク1月31日号に掲載した。東西の正横綱は昨年と変わりなく、中外製薬と協和発酵キリンを選んだ。ファーストインクラス重視にかじを切った第一三共が横綱に昇進した。

 日経バイオテク編集部は毎年新春に、バイオ企業番付を作成し公表している。2011年版も例年通り、以下の方法で作成した。2010年版の番付をベースに、2010年1月から12月までに日経バイオテク・オンラインなどに掲載された各企業の記事本数と活動内容を考慮して順位を昇降させ、新たな番付を決定した。各企業の活動内容としては、研究開発の進捗や新製品の発売、M&A(企業の合併と買収)などの項目を検討した。

 対象は国内企業(海外企業の国内法人を含む)とし、原則的に連結子会社を含めた企業グループ全体で評価した。ただし、グループ会社であっても事業分野が全く異なる場合などは、別企業として扱った例もある。社名は2011年1月1日時点のものを記載した。

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さらに存在感増す東西正横綱

 2011年も2010年と同様に、抗体で日本のバイオ業界をリードしている中外製薬と協和発酵キリンを東西の正横綱に選んだ。中外製薬は抗体医薬が成長を続けている。同社の発表では「リツキサン」の売上高は2010年の211億円から2011年は225億円、「アバスチン」は349億円から512億円、「アクテムラ」は84億円から151億円に伸長する。同社が創製したアクテムラは、日本、欧州に続いて、2010年1月には米国でも関節リウマチ治療薬として承認されたため、2011年以降も成長が期待できる。

 抗体を巡る協和発酵キリンの研究開発は、同社の独自技術であるポテリジェントを核に進展している。ポテリジェントは、IgG抗体の定常領域(Fc)部分のフコースを減らすことで抗体依存性細胞障害(ADCC)活性を改善するというもの。同社はこの技術を製薬企業などにライセンスアウトしており、2010年は第一三共と新たに契約した。また、ポテリジェント抗体の開発では、国内で成人T細胞白血病リンパ腫などの治療薬として治験を実施しているKW-0761が、オーファンドラッグに指定された。2011年の承認申請を目指している。東西正横綱の2社は、バイオ医薬品分野で成果を出し続けており、その地位はしばらく盤石に見える。

 2011年の番付では、第一三共を大関から横綱に引き上げ、タカラバイオよりも上位に位置付けた。第一三共は2010年9月にインフルエンザ治療薬「イナビル」、12月にアルツハイマー症治療薬「メマリー」の国内承認を相次いで取得。8月には、抗RANKL抗体のデノスマブを承認申請(適応は骨粗鬆症)するなど、大型化が期待できる製品の開発が進展していることを評価した。また、子会社のアスビオファーマの業務内容を大幅に見直し、4月1日に探索から初期臨床に特化したベンチャー型の組織として再発足させるなど、今後はファーストインクラスを狙った研究を強化する方針を打ち出している。

 2010年はワクチン分野で、提携や再編が数多く起こった。それを反映して、番付でもワクチン関連企業の番付を大幅に上昇させた。阪大微生物病研究会と化学及血清療法研究所はともに、小結から関脇に昇進した。UMNファーマは、小結の下位から中位に引き上げられた。国内で遺伝子組み換え型インフルエンザワクチンを開発しているUMNファーマは、2010年1月にIHIと合弁でワクチン原薬工場を設立すると発表。7月には、厚生労働省の「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」の細胞培養法開発事業に採択され、8月にはアステラス製薬と共同開発・独占販売に関する契約を締結した。横綱になった第一三共も、7月に北里研究所と合弁企業を設立し、ワクチンの製造事業に乗り出した。

 環境関連分野では、バイオプラスチックを自動車部品として積極的に採用しているトヨタ自動車の順位を引き上げた。(編集部)