バイオテクノロジーが切り拓く未来の最たるものの一つに画期的先端医療の実現がある。健康はすべての生活の基盤であり活動の源である。従って国家の最も重要な役目の一つは、国民の健康を守るための政策、手段を講ずることである。これは同時にソフト面での国防政策、国勢振興策でもある。

 また、健康は国や地域を問わずすべての人々にとって共通の願望であり、その実現は普遍的な課題である。先端的健康研究や医薬品・医療機器及び医療技術の開発が、人類の資産とされる一方、知財や産業面から激烈な国際競争の的となる所以である。

 欧米先進国で開発された医薬品等により、国民が病から解放され、健康を享受できるのであれば、1日も早くそれら使用できるようにしなければならないが、年々膨大に膨れ上がっていく医療費が海外に流れ、彼の地での新開発、拡大再生産に繋がっている側面も考えねばならない。

 望むべきは、わが国が保健衛生分野で独自に画期的な成果を挙げ、国民の保健衛生に寄与すること、すなわち、まずは「国民益」を実現することである。また、わが国発の製品や技術が世界にも普及し、国際社会の公衆衛生に資する平和的な貢献、「国際益」にも繋がることも望まれる。結果的に国内外での経済の循環も発生するという状況がもたらされれば総じて国益となる。科学技術創造立国の名は、科学・技術を通した自国の振興と平和的国際貢献とを両立できる国にこそふさわしい。これらの点を改めてチームジャパン関係者の共通の認識として共有しなければならない。

 学、産、官等各プレヤーが目指すのは「患者さんのために、保健衛生の向上のために」という共通のゴールである。それぞれの立場は異なっても、同じピッチに立ち、機能を最大限生かしつつゴールを目指す。例えば、学の役割は、バックス同士で世界一のボール回しをすることではない。いかにボールを前に送れるかが役割である。産もミッドフィールダー的存在としていかにボールを受け止め、前に行くか。官はゴールキーパーでなく、むしろアシスト役か時にフォワード。いずれもいかに想像力と創造力を駆使して自在に動き、スペースを作り、確保し、ゴールをゲットするかが肝要である。そして何よりも、強いゴールへの意識と執念。患者本位よりも、学、産、官の目線に拘泥しすぎていないか、常に振り返る必要がある。

 患者本位とは、製品や技術が持つリスクと、病に罹患し、時の経過とともに病のリスクが増大するという患者が「新たな治療機会を失うことにより被るかも知れないリスク」とのリスクの大小を勘案し、かつ、これらすべての情報を開示した上で患者の自己決定権に委ねるという視点を持つということである。

 時代や局面を切り拓く画期的医薬品や医療技術は、果敢なチャレンジを父とし、病める人への思いの強さ、深さを母として生まれてきた。

 土壇場の明治維新、焼け野原の戦後からでもこの国は大きく飛躍できた。今は、潜在力としての個々の資質やシーズにおいて世界有数のものも多い。残るは、強い目的意識と「本気度」の高さである。

 本気度が問われている。頑張れニッポン!