日本のワクチン開発は欧米に後れをとっていると言われて久しいですが、ここ2年程の間に、インフルエンザ菌b型ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンなどが発売されました。近い将来、ロタウイルスワクチンも発売される見込みで、ようやく欧米に追いつきつつあります。昨秋、政府が前三者の接種実施の財源となる基金設立のための予算措置を行ったこともあり、今後、これら新規ワクチンの接種を受ける方々も急増することが予想されます。

 日本をはじめ世界100ヵ国以上で承認されている子宮頸がんワクチン「サーバリックス」は、Baculovirus Expression Vector System (BEVS)を用いて製造されています。その他、BEVSを用いて製造されたワクチンには、昨年FDAにより承認された前立腺がん治療ワクチンProvenge(Dendreon社)や承認審査中の季節性インフルエンザワクチンFluBlok(Protein Sciences社:PSC社)、1型糖尿病に対する第III相臨床試験および成人潜伏型自己免疫性糖尿病に対する第II相臨床試験を実施中の糖尿病治療ワクチンDiamyd(Diamyd Medical社)などがあります。ワクチン以外では、EMAにて承認審査中のリポたんぱく質リパーゼ欠損症治療薬のGlybera(Amsterdam Molecular Therapeutics社)もBEVSを用いて製造されています。2011年以降、これら後期開発段階にあるBEVSを用いて製造されるワクチン・医薬品が続々と世に出ると見込まれます。

 弊社は、BEVSを用いたインフルエンザワクチンの日本における独占的事業化権を2006年にPSC社より導入し、国内のワクチン企業に先駆けて、細胞培養によるインフルエンザワクチンの開発に取り組んでいます。

 昨年は、弊社にとって播いた種が多くの芽を出した年でした。インフルエンザワクチン(H5N1株)の第II相臨床試験において良好な結果が得られたことに加え、原薬製造・製剤化工程・臨床開発・販売のそれぞれについて、強力なパートナーとの提携を実現することができました。また、厚生労働省の助成事業に採択され、秋田市に新型インフルエンザワクチンを製造するためのパイロットプラントを建設中です。さらに、本ワクチンの中国・韓国等での独占的事業化権も取得し、アジアへの展開を開始しました。弊社は、バイオ医薬品製造の次世代プラットフォームであるBEVSの価値を最大限に生かしつつ、新たな創薬に挑戦してまいります。