あけましておめでとうございます・・・ととりあえずは能天気な年頭のあいさつをした方が良いのでしょうが、しかし、日本国内の医薬品・バイオ産業で働く方々にとっては、年々、差し迫った苦しい状況が我が身に迫っているのではないかと心配します。製薬産業が落としてくださるお金でまわっている日本の新薬研究開発市場は年々縮小しているように見えます。製薬産業で働いている人の頭数も減っています。日本人被験者数も減っているようです。

 「グローバル開発時代が到来した」だの、「日本はPOC試験で生き残るしかない」だの、「日本人は細かいところに気が回るから臨床データの質は高いぞ」だの、一部失笑レベルのものも含めて、生き残りの掛け声をここ十数年聴き続けていますが、それらがどれくらい現実的な成果とつながった、意味のある主張かを、新年を迎えるにあたり一度振り返ってみるのが良いと思います。お屠蘇気分も一気に冷めるはずです。もっとも、過去の政策や主張は振り返らず、すべてを水に流し、現状の把握もせず、「未来」だけをやたらと熱く語るのが日本の業界人や行政官の得意技ですから、そう心配する気にもなりませんが。

 研究開発市場を含め、日本市場が消え去ることはありません。医薬品市場は8兆円/年あります。8兆円/年は、かなりの数の業界人、行政官、周辺の研究者があぐらをかけるだけの大金であることに間違いありません。安心してあぐらをかけば良いと思います。

 先日のNHKスペシャルで、政府の借金がこれほど破滅的な額に上ってしまったのはなぜかを取材していました。最初に赤字国債を発行した人、止めようとしたが止められなかった人、諦めた人、開き直った人、それぞれに言い訳は合理的で、論理的で、説得力がありました。

 私たちの医薬品の世界も同じですね。地盤沈下しながら安楽死を待っている日本の新薬研究開発活動だとか、解決するはずもないドラッグラグだとか、次の薬害が確実視される例の件だとか、誰の目にも見えていて、事の重大さは理解されていて、情報が特段隠されてもいないのに、どうにもならないのです。誰もが自分のしてきたこと、していることについて何らかの正当性がある以上、「私が間違えた」と言う必要はないのですから。他人の誤りを指摘する人や、自分の過ちを告白する人が冷や飯を食うことも皆知っています。どのような種類の危機にせよ、先送りできるところまで先送りし、誰かが判決を下してくれるまでひたすらに待つのが、合理的な人間というものです。放っておいても、いつかは神様が最後の審判を下してくださるのだろうし。

 だから、私の抱負は、今年も、できる限り非合理的なサルであり続けることです。本能のままに行動すればよいのだから、簡単です。皆さんもご一緒しませんか。


+BTJJ+