新年明けましておめでとうございます。

 今年はエピゲノムの活用に向けた様々な競争が活発化する年だと思われます。昨年は、たくさんのエピゲノム関連の論文が発表されました。基礎的分野では、大規模シークセンサーを用いたエピゲノム解析が普通に行われるようになり、エピゲノム修飾酵素の阻害剤の開発も急速に進みました。臨床分野では、急性骨髄性白血病でのDNMT3Aの突然変異など、各種の腫瘍でのエピゲノム異常・エピゲノム調節異常の重要性がますます明らかになってきています。

 しかし、もっと大きな動きは、腫瘍以外の分野でのエピゲノム変化の研究が進展してきていることです。我が国も含めて世界各国で、神経疾患・精神疾患・行動変化・代謝性疾患・疼痛感受性などの領域で、関連するエピゲノム変化が同定されています。植物では当たり前に知られている世代を超えたエピゲノム変化の伝達が、動物でも報告されてきています。胎児期・新生児期はエピゲノムが環境の影響を受けやすいことは以前からわかっており、疾患感受性との関連を考える人もいます。

 今年は、各種の疾患でのエピゲノム変化と病態の因果関係が解明され始めるのだろうと思います。疾患に関与するわけですから、エピゲノムが機能性食品開発、診断機器開発、創薬などの標的として、様々な方法で活用されてくるのではないかと思われます。経世代的な影響、胎児期・新生児期のエピゲノム変化は、公衆衛生的にも重要なことになり得ます。色々な開発競争も行われますが、国際協調により標準エピゲノムを解読しようというInternational Human Epigenome Consortiumも今年正式発足します。

 活発化する競争の中で、我が国の企業が抜き出てくれ、その結果として国民のライフサイエンスへの理解が深まり、更にその結果として学術への支援も手厚くなる、というのが初夢です。


+BTJJ+