2011年はバイオベンチャーにとっては例年にもまして将来を占う大事な年です。大型医療用医薬品の特許が切れる「2010年問題」による新薬メーカーの収益力の大幅な低下、そして35兆円に上る医療費に対する政府の医療費抑制政策のために、競争戦略の見直しは明確になりつつあります。

 加えて新興国市場の攻略といった点に関して新薬メーカーはそれなりの対応策を打ち出さなければなりません。バイオベンチャーにとってはこれらの環境の変化を上手に活用することでビジネスチャンスを見つけることが肝心です。

 今まで収益の大黒柱を担ってきた低分子医薬が限界に達し、バイオ医薬が新薬のリーダー役を担うようになって益々バイオベンチャーの役割が求められ、それに応える責任が問われています。それが相変わらず欧米のバイオベンチャー頼みでは折角のビジネスチャンスをふいにしていることになります。このジレンマを解消させないことには日本のバイオベンチャーの価値を毀損させるばかりでなく我が国の医薬品産業のさらなる発展には寄与できません。そのためにも改めてベンチャー支援策を種々整備することが急務です。

 また、バイオベンチャーはグローバル市場を意識して、大規模な投資を講じないかぎり世界の10%を切った日本市場だけでは魅力的な収益の柱は見えてきません。液晶や携帯電話と同様の結末を受入れる訳にはいきません。そのためにはやはり戦略のオリジナリティをもって世界に挑戦していくことが原則です。

 一方、海外に逃避するだけでは進化はありません。日本発の新しい治療薬の開発を加速するにはどうしたら良いのか、国をあげて考えなければなりません。そしていつも戒めることですが、リスクを恐れて何もしないことが一番のリスクであることを忘れてはなりません。世界の厳しい荒波のなかで羅針盤を無くして沈没しかけない日本国を救うのは我われであるという気概をもって今年は成果をあげて行きたいと思います。