2011年は後半から日本バイオに明るさがともってこよう。日本発で世界的にも評価される新薬の承認申請が立て続けに期待されるからだ。

 日本バイオベンチャーには2000年前後の設立され、その多くが大学のシーズを基にした大学発ベンチャーという特徴がある。大学のシーズは目先きではなく、10年程度先に実用化される先進技術(最近は少し変わったようだが)であるため、成果が目に見える形となるのは2010年を持たなければならなかった。そして2010年を迎え、審査・認可機関であるPMDAの体制やマインドの不備により達成度は当初の期待と比べて低いが、開発パイプラインに評価できるものが出てきている。

 開発パイプラインの中身から2012年にはオンコセラピー・サイエンスのがん治療用ペプチドワクチンOTS102、セルシードの角膜再生上皮シート、科研製薬の再生医療医薬品KCB-1D、協和発酵キリンのポテリジェント技術を用いた抗体医薬KW-0761など、世界に誇れる日本のオリジナルバイオ技術製品の上市が予想される。これらの承認申請が2011年に行われると予想する。治療薬以外にも診断薬で注目できるものもある。

 政治でも動きが出ている。何をしたいのかわからないと言われる民主党だが、注目される動きが10年12月に起きている。内閣府に「医療イノベーション担当室」が設置されたことだ。医療分野で重点分野を絞り込み、研究開発から実用化まで取り組みの基本方針を策定し、この決定を踏まえて、医療関係3省(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)が予算方針を策定するとしている。みずほ証券は長らく求められていた日本版NIHの第一歩として評価、注目している。これを本物にするが骨無しにするかで民主党の未来が定まるだろう。

 もう1つ、注目している動きがある。武田薬品の長谷川社長が11年4月に経済同友会の代表幹事になることが予定されていることだ。IT系企業の経営者が4代続いていたが、このタイミングで医療系にバトンタッチとなる。長谷川社長は、新薬価制度に積極的に発言し一部実現させた人物である。また、今回の法人税減税についても実現した場合、国内への積極投資を公言している。国内の医療・バイオに資金が回り始める象徴的な人事として関心を持っている。

 いずれにしても、2012年が日本バイオの開花期入り、2011年はその前年であり、後半から明るい兆しが見え始めると展望している。