***** seminarMLから情報転載 *****


セミナーメイリングリストの皆様へ

東京理科大学生命科学研究所セミナー(システムバイオロジー連続講義 第1回)の御案内

生命科学研究所生命情報科学研究部門では、21世紀の生命科学の大きな流れとなりつつあるシステムバイオロジー(computational biology)について、それぞれの分野で独創的な仕事をされている先生方をお呼びして、その仕事の背景や動機について時間をかけて説明していただいた上で、最新の研究成果をご紹介いただく連続講義を企画いたしました。
 第1回の演者をお引き受けいただいた奈良先端大の作村先生は、実験データに基づいた細胞形態形成のモデル作りでは国内でも指折りの存在で、次の世代のシステムバイオロジーをリードする人材のひとりと評価されています。システムバイオロジーやその近縁分野にご興味のある方々の積極的なご参加をお待ちしております。

<日時>
平成23年1月13日(木) 16:30~17:30

<場所>
東京理科大学 野田校舎 講義棟2階 K209教室

<演題>
実験値と数理による神経形態形成の原理解明に向けて

<発表者>
奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科 准教授
作村諭一先生

<要旨>
細胞の形態変化は、生体の発達過程のみならずさまざまな生体機能において重要である。そのため、細胞内外の分子に関する研究や、細胞が生成する力の計測などがこれまで行われてきたが、未だ不明な点が多い。細胞形態形成の研究の困難さは、細胞内分子観測、形態変化の定量化、分子と形態の関係性抽出にある。我々はこれまで生物実験の研究者とともに共同研究を行い、形態変化の定量化方法の開発[1]や神経細胞における分子と突起形成の関係性抽出(定量数理モデル構築)[2][3]を行ってきた。これらのうち、今回は神経突起形成における極性形成についての研究を紹介する。
脳は、神経突起の精密な配線に基づいた器官であり、神経細胞の特異な形態形成を理解することは脳機能の解明につながる重要課題である。そこで、我々はまず培養神経細胞が1本の突起のみを極端に伸長させる過程、いわゆる極性形成の原理を実験値と数理を用いて解明することを目指した。
均一条件の培養皿には、空間的な偏り(成長因子の濃度勾配など)が無いが、複数の突起を持つ神経細胞は1本の突起のみを極端に伸長させ、やがて軸索へと発達させる(極性形成)。エネルギーを使って偏り・非対称性を自ら獲得する発達過程である。この対称性の崩壊過程はロバストな性質を持ち、長くなった突起を切断しても再びいずれかの突起が伸長する。極性形成の過程で、神経細胞特異的に発現するshootin1はその発現量を急激に増加させ、最も長い突起の成長円錐に集積する傾向にある。
我々は、shootin1濃度分布と突起長の時系列データに基づいて定量数理モデルを構築した。神経突起に限らず、あらゆる物質が形態変化を起こす際には必ず力が存在する。ゆえに分子濃度、長さ、力といった異なる階層の物理量からモデルは構築される。発表では、最終的なモデルに至るまでに、これら物理量の間の定量的な相互作用をどのように作り上げたかを中心に解説する。また、モデルの数理解析によって得られる知見や、我々が採用した方法論の意義についても解説する。

[1] Tsukada Y&s_comma; Aoki K&s_comma; Nakamura T&s_comma; Sakumura Y&s_comma; Matsuda M&s_comma; Ishii S.
Quantification of local morphodynamics and local GTPase activity by edge
evolution tracking. PLoS Comput. Biol.&s_comma; 4(11): e1000223&s_comma; 2008.
[2] Toriyama M&s_comma; Sakumura Y&s_comma; Shimada T&s_comma; Ishii S&s_comma; Inagaki N&s_comma; A
Diffusion-based neurite length sensing mechanism involved in neuronal
symmetry-breaking&s_comma; Mol. Syst. Biol.&s_comma; 6:394&s_comma; 2010.
[3] Inagaki N&s_comma; Toriyama M&s_comma; Sakumura Y&s_comma; Systems Biology of
Symmetry-Breaking during Neuronal Polarity Formation&s_comma; Dev. Neurobiol.&s_comma; (in
press).

<交通アクセス>
つくばエクスプレス 流山おおたかの森駅(北千住から13分;つくばから19分)乗り換え、東武野田線 運河駅下車
http://www.tus.ac.jp/info/access/nodcamp.html
http://www.tus.ac.jp/info/access/gmap/noda_gmap.html

<連絡先>
***********************************************************
東京理科大学生命科学研究所
生命情報科学研究部門 教授
中村岳史
tnakamr@rs.noda.tus.ac.jp
04-7121-4084
***********************************************************




seminarMLに関する情報は「バイオ関係者、皆のホームページ」特選MailingList_Forum欄でアクセスできる。