新年明けましておめでとうございます。

 昨年は、多くの人が「変」という言葉で表したように、国内外ともに大きな「変化」の起こった年でした。

 今年は、どのような年になるのでしょうか。私は、自分の今年の抱負も含めて、「寛容」と「責任」という言葉を挙げたいと思います。

 「変化」は、社会や企業、個人にとって、一種の閉塞感を打破し、新たな展望を開く契機となります。しかしながら、「変化」を受動的に受け止めるだけでは、本当の新しいものを生み出すことはできません。また、「変化」には、大なり小なり、何らかの痛みが伴うものです。これまでのやり方、これまでの価値観に安住している方が、楽な場合も多いのです。

 バイオ産業は、そもそも、イノベーションを母とし、社会に新しい価値を生み出し、ある意味、既存の社会観念と常に戦ってきたといってもいいような産業です。したがって、このような「変化」の時代こそ、バイオ産業の出番なのです。

 しかしながら、最近の、特にバイオベンチャーを巡る状況を見ていると、残念ながら、そのような活気、熱気よりも、嘆きや諦観が勝っているように見えます。確かに、昨年のリーマン・ショック以降の金融状況の悪化や経済全般の停滞など、経営環境をめぐる厳しさが大きな要因であることは間違いありません。しかし、私にとっては、既存の尺度でははかれない新しいもの、リスクの高いものについての社会の「寛容」度が低くなっているのも一因ではないかとも思えるのです。「新しいもの」について受け入れる「寛容」さがなくては、本当の「変化」の果実を手にすることはできません。

 また、「変化」や「新しいもの」が、いいことずくめであるわけでも、また、必ず成功するわけでもありません。あるものを得るために手放さなければならないものあるでしょうし、失敗のリスクを犯すことも必要でしょう。誰にとっても、そのための心構えと結果を引き受ける覚悟、「責任」が求められます。

 イノベーション力の強化、産学臨床連携の強化、バイオベンチャーの活性化等、国民の真のニーズに応え、国際競争力のあるバイオ産業の発展のための施策について、行政としての「責任」を肝に銘じて、引き続き微力を尽くして参りたいと思いますので、本年もどうぞよろしくお願い致します。