2010年は日本バイオにも光が差す年となろう。上場企業でさえ、資金調達に四苦八苦しており、未公開企業では資金ショートする会社が出てくることが予想される一方で、先端技術の製品上市や承認申請、大型契約が期待できるステージに進展している企業も複数出てきている。

 米国の上場バイオは08年度に初めて黒字化を達成した。09年度は再び赤字になる可能性があるが、これは黒字の会社や有望シーズやプラットフォームをもっている会社が製薬企業に買収されたことが主因であり、ダイナミックな動きが続いている。

 一方、日本の上場バイオの利益水準は赤字が07年度をピークに減少トレンドに入った段階だ。大型契約も少なく、日米格差は大きい。では、この差はどこからきたかといえば、1つはバイオ企業の歴史の差であるが、もう1つは目指したものの違いといえる。米国バイオは「バイオ医薬品」の第二世代である抗体医薬の開発を目指し、その結果としてGenentech社のように日本の製薬企業トップである武田薬品工業を上回る業績をあげている会社も出てきている。これに対し、日本のバイオ企業は「バイオ医薬品」の第三世代といえる遺伝子治療薬、細胞医療、治療用ワクチンなどを目指したことが黒字化の遅れた要因といえよう。

 しかし、ここへきて第三世代にも目に見える成果が期待できる段階となってきた。遺伝子治療の年内上市、治療用がんワクチンの年内承認申請、細胞シートを用いた再生医療も年内承認申請が予想される。日本が事業化でリードしている細胞医療については、09年の実施数は大幅に増加し、エビデンスの蓄積が進んでいる。

 2010年は09年度補正予算に盛り込まれた「最先端研究開発支援プログラム」によるバイオ分野への資金流入も注目される。前政権の置き土産となった「最先端研究開発支援プログラム」は、民主党政権により減額されたが、みずほ証券は今後4年間にわたってバイオ分野に360億円の資金が流入すると推定している。このお金が試薬を買い、装置を買い、雇用を創出するなど需要を生み出すと考えている。(株)産業革新機構の9&s_comma;000億円近い資金の一部がバイオ企業に向けられることにも期待したい。中国のバイオへの投資も本格化している。

 09年はバイオ企業の新規上場はテラ、キャンバス、DWTIの3社となった。3社ともその後の高値は公開価格を大きく上回っており、09年の新規バイオ株投資は3連勝となり、証券市場におけるバイオ企業の関心度は高まっている。私は、09年5月の合併によりみずほ証券のバイオ担当アナリストとなった。変化は海外の投資家との接触が格段と増加したことだ。彼らは日本のバイオへの関心は高いが、情報量が少なすぎると言っている。これまで金融界の“バイオの伝道師”として動き回ってきたが、2010年はグローバルなニーズにも対応していきたいと考えている。日本にはこんなすばらしい技術・製品があり、世界に貢献できると私にプレゼンさせてくれる企業の出現を願うとともに、それら企業のお手伝いをこれまで以上にしたいと考えている。