平成20年度の日本の食料自給率はカロリーベースで40%程度であり、品目別自給率は主食用の米(100%)や鶏卵(96%)以外はいずれも低いレベルである。そのうち、エネルギー源である油脂類の自給率は低く(13%)、特に、大豆、菜種、パーム、トウモロコシ、オリーブ、綿実、米などを原料に作られる植物油脂のそれは2%である。

 製油原料の海外依存は他の食料がそうであるように主として農業政策等によるが、一方では日本は世界で有力な植物油生産国である。中でも、国産の原料を主とする米油は5番目に供給量が多い油であり、将来、その生産量の増加や栄養性と食品工学的な運用性の改良等が期待できる植物油である。

 遺伝子組み換え植物の種の世界シェアは90%に上ると見積もられる多国籍バイオ化学メーカーであるモンサント社はその販売促進冊子において、「より良い食糧は選れた種子から生まれる」と主張している。このような主張はモンサント社だけでなく、世界の種苗業者は油糧作物の栄養価を改良し、調理や食品工業の目的に適合するように機能特性を改変しようと試みている。

 米国油化学会(AOCS)の機関紙であるinform誌(international News on Fats&s_comma; Oil&s_comma; and Related Materials)が行った油糧作物(菜種、綿実、亜麻仁、パーム、紅花、大豆、ヒマワリ)の将来に関するアンケート(何を、どのように、改善、何時までに、)に対して世界有数の企業や研究所等が回答している。例えば、有害物質や栄養機能の改変(何を)、通常の交配、遺伝子組み換え、薬品処理(どのように)、生活習慣病、神経変性疾患、ガン(改善)などである。

 九州大学大学院農学研究院の佐藤 光教授らは、「画期的米油原料用稲の育種・利用に向けた基盤的技術シーズの開発」のテーマで、平成21~25年度のイノベーション創出基礎的研究推進事業に採択されている。本研究は、これまで着目されることが少なかった米油に着目し、画期的油糧用品種の育成を目的に、日本が誇るイネゲノム情報をもとに豊富なバイオリソース及び生命情報を包括的に取り扱う最新のOMICS解析技術を駆使して、米油増産に関わる育種素材開発と米の全てを利用する技術開発を産官学連携で行い、戦略的ゲノム育種の基盤形成と品種特性を生かす実用的な応用技術の集積を目指すものである。

 佐藤教授は多年に渡って植物育種の重要な手法の一つとなっている化学変異原を用いた作物の有用変異作出法に関する研究を行っており、作物植物の遺伝的調和を乱すことなく特定の遺伝子を改変できる。この手法は、遺伝子組み換えに依存する手法と比較し日本の消費者にも受け入れられやすい技術である。

 平成22年度は佐藤教授らの仕事が進展し、国民の健康づくりと食料自給率の向上に資する元年となることを期待している。

キーワード:米油;食糧自給率;健康づくり


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