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セミナーのお知らせ

講演者: 諸橋 賢吾 博士 (米国オハイオ州立大学)
「システム生物学的アプローチによる転写制御回路の解明:
シロイヌナズナ転写因子GL3とGL1を中心としたトライコーム形成を例に」

学生や異分野の研究者にもわかりやすいように話してくださる予定ですので、興味を
お持ちの方は奮ってご参加ください。

2009年4月6日(月) 14:00-15:00
東京理科大学 野田キャンパス 計算科学研究センター 4階大会議室

【要旨】 シロイヌナズナのトライコームは葉の表皮細胞から分化した単一の細胞か
らなる毛状構造体であり、細胞運命を決定するメカニズムの解明や、その転写制御の
研究に用いられてきた。bHLH型の転写因子GL3とMYB型転写因子GL1は、トライコーム
形成に必要とされることがわかっている。またHD-Zip型転写因子GL2およびWRKY型転
写因子TTG2もGL3やGL1と同様にトライコーム形成を正に制御することが知られている
が、我々はChIP(クロマチン免疫沈降)法により、GL2およびTTG2がGL3とGL1の直接的
な標的遺伝子であることを明らかにした。興味深いことに、GL3のGL2およびTTG2プロ
モーターへの結合はGL1依存的であった。一方、同様のアプローチによりGL3が自身の
プロモーターへ結合することがわかり、その結合はGL1非依存的であった(Morohashi
et al.&s_comma; 2007; Zhao et al.&s_comma; 2008)。
 GL3とGL1を中心とした転写制御回路を明らかにすべく、二つの異なるアプローチに
よるゲノムワイドな解析を行った。一つは、マイクロアレイ解析による発現変化の調
査である。そのために、グルココルチコイド受容体(GR)を用いた計時的な機能誘導
系を用いた。GRは動物ステロイドホルモンであるデキサメサゾン(DEX)と結合する
ことで核内に移行する。GL1およびGL3とGRを融合した人工タンパク質を発現する組み
替え植物をそれぞれ利用することで、GL1およびGL3の核内での機能誘導をDEX処理に
よって制御できる。DEX処理4時間および24時間の地上部よりRNAを抽出し、マイクロ
アレイ解析を行った。また、gl1およびgl3 egl3変異体における遺伝子発現変化もマ
イクロアレイ解析によって調査した。すべてのマイクロアレイデータをメタ解析し、
その結果、少なくとも約500遺伝子がGL3およびGL1によって発現が制御されることが
わかった。次に、二つ目のアプローチでは、GL3およびGL1の直接的な標的遺伝子を得
るためにChIP-chip解析を行った。ChIP-chipとはChIP後のDNAをマイクロアレイチッ
プを用いて網羅的に解析する手法であり、転写因子と結合したDNA情報をゲノムワイ
ドに獲得することができる。すなわち、通常のChIP解析では既知の標的領域のみ調査
できることに対して、ChIP-chip解析では未知の標的領域を知ることができる利点が
ある。シロイヌナズナ全ゲノムを網羅したアレイチップを用い、全ゲノム中にGL3お
よびGL1が結合する部位として、それぞれ約870部位、約680部位があることがわかっ
た。また、GL3では約700遺伝子、GL1では約500遺伝子が直接的な標的遺伝子であるこ
とが予想され、GL3とGL1共通の予想標的遺伝子は約20遺伝子にのぼった。それらには
MYC1&s_comma; SIAMESE&s_comma; RBR1などトライコーム形成過程で関与が示唆されていたものも含ま
れていた。
 以上の二つのアプローチで得られた(1)GL1およびGL3による発現変化、(2)GL1およ
びGL3の結合領域、というゲノムワイドな異なる情報をどのようにして統合するか?
この問いに対する明確な手法はまだ存在しない。我々は、ピアソン相関係数による共
発現解析データを用いたクラスター解析によって統合させ、GL3とGL1を中心とした転
写制御回路を構築することを試みた。本セミナーではシステム生物学的アプローチに
よる転写制御回路について議論したい。
・ Morohashi&s_comma; K.&s_comma; Zhao&s_comma; M.&s_comma; Yang&s_comma; M.&s_comma; Read&s_comma; B.&s_comma; Lloyd&s_comma; A.&s_comma; Lamb&s_comma; R.&s_comma;
Grotewold&s_comma; E. Plant Physiol (2007)
* Zhao&s_comma; M.&s_comma; Morohashi&s_comma; K.&s_comma; Hatlestad&s_comma; G.&s_comma; Grotewold&s_comma; E.&s_comma; Lloyd&s_comma; A.
Development (2008)
* Morohashi&s_comma; K. and Grotewold&s_comma; E. PLoS Genetics (2009)

交通案内
つくばエクスプレス 流山おおたかの森駅で東武野田線に乗り換え、運河駅(7分)下
車、徒歩5分
http://www.sut.ac.jp/info/access/gmap/noda_gmap.html



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