2008年は我国のゲノム科学にとって新たなパラダイムシフトの年となった。というのも,2007年に欧米の主要な研究機関にて本格的な利用が開始されてきた454やSolexa,SOLiDなどの新型シークエンサーが,我国でも約1年遅れて導入が開始されたからだ。

 これら新型シークエンサーは,単に大量の配列データを生み出すというこれまでのシークエンサーの拡張版としてだけではなく,ChIP-seqやCNV解析など,これまでとは異なる新たな利用法をゲノム研究にもたらした。特に,GWASやメタゲノムに代表される,群集を対象としたゲノム解析には圧倒的な効果を発揮し,すでに成果が報告されつつあるものの,2009年にはこれら大規模ゲノム研究が一気に開花するであろう。

 また,このような大規模ゲノム研究に伴い,これまでに無い解析手法の開発が必須となるため,バイオインフォマティクスにおいても新たな展開が期待できるであろう。

 上述したように2008年は,ゲノム研究に関わるバイオ研究者のみならずバイオインフォマティクス研究者も新型シークエンサーに踊らされた年となった.私個人も未だ新型シークエンサーの威力に熱冷めやらぬ日々を送っている。

 しかし,2008年の年の瀬に私の尊敬する先生から,「技術が科学を牽引するとは如何なものか?」との苦言を頂戴した.自戒の意を込めて,2009年は少し冷静になり研究および人材育成に勤しめればと思っている。

キーワード:大規模ゲノム,シンセティックバイオロジー,染色体高次構造,大型ハドロン衝突型加速器


※黒川顕・東工大教授のBTJ記事

「ゲノムインフォマティストは絶滅危惧種に。自動化だけでなく、教育や解析受託センター整備など重要」と黒川顕・東工大教授
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/4599/(記事リンク1

続報、東工大の生命理工に新教授が相次ぎ就任、
4月に徳永万喜洋氏と村上聡氏、5月に黒川顕氏
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/oc/2005/2271/(記事リンク2


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