最近、中国、韓国、インドへよく招待される。年末に上海へ招待された。11月末には、インドと韓国へ招待された。インドではテロの勃発した日にちょうど空港を飛び立つところであった。中国、インドの発展ぶりには今さらながら驚かされる。

 この12年間、上海へは毎年2回くらい訪れる機会があった。行くたびに高層ビルと高速道路が増え、地下鉄の路線がどんどん増えている。2年前には新空港が浦東に開設され、浦東地区は圧倒的な早さで開発が進んだ。日本で長年リニアモーターカーを研究してまだ実用化されていないが、上海では市内?空港間にすでに時速450kmで走っているのである。

 もはや上海は、東京よりも大都会である。来年は、上海で国際分子生物・生化学会(IUBMB)が開催される。私もまた招待されている。再来年には上海万博が開催される。それまでにさらに発展することを思うと、すでに世界はアジアへの時代へと大きな流れになっていることを痛感する。

 大学も新キャンパスを次々と作っている。有名大学の一つ、上海交通大学を訪れた。浦東地区に圧倒的に広大なキャンパスを確保し、次々と新しい建物が建設されている。その周囲にはたくさんの企業の研究所が建設されている。私の勤める産総研キャンパスの10倍ほどもある広大なキャンパスである。産総研のある科学都市・つくばからは、大手の製薬企業の研究所が姿を消しつつある。この上海の浦東地区に移動しているのである。

 私の世代の中国の研究者は、日本の大学・大学院へ留学した者が多く、日本語が流ちょうな方が多い。しかし若い年代層はほとんどが米国へ留学するので日本語は通じない。私は中国からのポスドクを快く受け入れてきた。中国には私の研究室出身者が何人もいる。その方々が中国で糖鎖生物学を発展させようと頑張ってくれている。

 今年の6月に、第2回目の中国糖鎖生物学会が蘇州で開催された。私も特別講演として招待された。まだ50名ほどしか集まらない小さな会議であったが、研究レベルは日本に近づきつつある。ちなみに日本で開催された今年の日本糖質学会への参加者は、700名である。この人数は、世界の中でも最高の研究者数を誇る。

 日本で開発・発展させてきた糖鎖研究の流れを、アジア全体に発展させる時期にきている。欧米指向がほとんどの多くの科学分野の中で、糖鎖研究は特異といっていいだろう。まずは、糖鎖研究に携わるアジアの研究者に一同に介してもらって今後の糖鎖研究の方向性を議論する場を設けたい。アジア糖鎖研究コンソーシアム組織を作り上げたい。「糖鎖研究はアジアが最も進んでいる、その先導となったのは日本の糖鎖研究である」、と歴史の教科書に書かれるような時代となることを予感している。

(終わりに)最後の夜にみんなとカラオケへ行った。日本人にとり中国語発音は難しくはない。漢字を音読みすればいいのである。カラオケで言葉を覚えて、まずはコミュニケーションを計るのも良い手段かも知れない。


+BTJJ+