日本では少子・高齢化が問題となっているが、緊急の課題はメタボリックシンドロームであろう。

 国立健康・栄養研究所は糖尿病一次予防の司令塔として位置付けられているが、近い将来1500万人もが患者となり1割の人が腎透析や盲目になると考えるだけで、如何に糖尿病対策が重要な課題かがわかろう。

 昨年4月から肥満対策を目標に特別検診、保健指導がはじまり、医療政策のおおきな転換点となった。内臓肥満は高血糖、高血圧、脂質異常などを合併するメタボリックシンドロームの根幹であるので健康日本21でもターゲットにあがったが、中間解析ではむしろ肥満者の増加となっている。

 厚生労働省は健康フロンテイアで「一に運動、二に食事、しっかり禁煙、さいごに薬」という標語を打ち出しているが、まさにこれこそが健康つくりの王道で、ダイエット食品やサプリメント、過激な運動や絶食による急激な痩せ方はいずれも長続きしない。

 自分に必要なエネルギーより食事を摂り過ぎれば太るのは道理であり、入りと出をバランスよく保つのが必要である。脂肪1kgは7000キロカロリーなので1日240キロカロリーずつ収支をマイナスにできれば確実に毎月1kgは痩せられる。わずかごはん一杯減らし、1万歩歩くことで達成できる。

 食生活と健康を考える際に、消費者のみに問題解決を押し付けても解決しない。いまだにテレビでグルメ番組や大食い競争などがあり、コンビニ弁当で特大を売りにするような宣伝は望ましくない。

 食品の生産者、食品の供給者と三位一体になった対策が必要である。私たちは80キロカロリー単位のフードアイコンを提案している。

 成人なら自分に適したエネルギー摂取は体重×0.4単位、運動をよくする人でも体重×0.5単位とれば十分なのでそれを目標値にしてほしい。

 単純に単位と栄養バランスを示すフードアイコンがメニューや食品すべてに付けば、エネルギーコントロールをやりやすくなる。肥満の人は目指す体重を、痩せている人も標準体重にかければ自分の摂るべきエネルギーの見当がつく筈である。たん白質の摂りすぎも問題で体重×0.8gあれば十分。これはごはんに100g程度の肉、魚、豆でよいということになる。特に腎機能の落ちている人には体重当たり0.5g以下の低たんぱく食が必要である。

 2010年には食事摂取基準の見直しがあるので、日本人にとって適正な「栄養素摂取基準」はどれくらいか、それを容易に達成できる「食事ガイドライン」をどうすればよいか、ということが今年の課題になる。患者への栄養療法の効果も大きいので、「栄養療法ガイドライン」の作成にもチャレンジしたいと思っている。

キーワード:メタボリックシンドローム、糖尿病、フードアイコン、特定健診・個別指導、肥満克服



※渡邊昌理事長の登場記事
BTJジャーナル08年11月号


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