1969年に設立されてから、現在までの40年間の歩みの中で、経済の変動、行政の施策の変化を多少なりとも回避しようと考え、“自社開発製品:他社からの導入品”“国内市場販売:海外市場販売”“基礎試薬:臨床検査薬の開発と販売”のバランスを考えてきた。また、当社のコア技術である抗体作製技術を向上させる努力を継続的に行ってきた。基礎試薬事業と臨床検査薬事業を少しずつ拡大し、海外販売も2009年には海外子会社(米国・中国)の売上が13億円を超え、連結売上の20%を超える予想ができるようになった。急速に進展する技術革新の時代にあっていかに事業の継続を考えるか、どのような企業を構想し、発展イメージを持つかは重要に思う。

 08年秋、世界は突然の急速な金融危機に襲われた。経済環境の激変の中で一企業にできることは限られている。雇用を維持しつつ、研究開発の成果を急ぐこと、生産性を高めること、売上・利益管理をきちんと行うことなどを改めて確認し進めている。

 08年6月に米国のBION社(シカゴ)をMBL International Corporation(ボストン)が買収した。BIONとは10年ほど前から一部事業の提携を行っていたが、企業の風土が似通っており、創業者が亡くなられて当社への吸収・合併を望まれた。自己免疫疾患診断薬やウイルス関連の診断薬を製造・販売しており、同社の買収で新たな販売ルートの獲得や米国に開発、生産の拠点を得たことになる。

 当社を含め日本のバイオ関連企業の多くは、日本市場を前提とした開発・製品化を行っている。今回の世界的な金融危機に直面して改めてグローバル化した経済を実感したが、今後は世界市場を前提とした製品開発を進めていくことが急務である。世界市場に通用する製品開発のためには確かな技術、独自の製品開発が問われる。08年のノーベル賞受賞者は日本の「知」を内外に認識させたが、果たしてどれだけ独創性のある製品が発信できるか問われていよう。

 09年には米国でオバマ大統領が登場し、新たな産業構築、雇用創出のための戦略的な投資が予想されているが、日本にあっても同様に集中した投資により次世代産業の構築が急がれるが、現状をみる限りバイオ産業育成については絶望的に思われる。

 当社は従来の活動領域に加えて総合受託サービス事業(One Stop Shop for Biotechnology)に注力していこうとしている。受託サービスは、資金供給を絶たれたバイオベンチャーの収入・支援につなげる意味も併せ持つ。売上はバイオベンチャーの命綱でもあり、ぜひ当社のウェブサイトをご覧頂きベンチャー各社の特長ある技術、サービスをご活用願えれば幸いである。またアイデア(日本の「知」)を頂ければさらに幸いである。

 危機の時代にあっては、“何を原則とするか。何を価値とするか”を繰り返し問い、自らの視座を確かにすることが肝要に思う。経済原理・市場原理のみで判断する愚を戒め、願わしい社会のあり方、企業のあり方を考察していきたい。研究・開発費も含められない入札価格、競合による果てしない価格低下は消耗感のみが残り豊かさをいつまでも実感できない。ここらで競合から協力のあり方の模索へ、競争的共存へと舵を切っていく必要があると考えている。