厚生労働省の改革推進室は、舛添厚生労働大臣が08年、自ら厚生労働省を改革するために作った大臣直属チームです。私はこのチームの一員として、医療、介護、年金など課題が山積する難問に取り組んできました。

 新しい年を迎えるにあたり、国民に安全・安心を与える行政の役割は益々高まることでしょう。更に昨年後半より、世界を取り巻く経済情勢は非常に厳しくなっており、経済成長・雇用を支える強い産業の育成においても、行政は益々期待されると思います。そして我々は、それに応えていく責務があります。

 経済成長には、強力な成長産業の創造が不可欠ですが、医療分野はその担い手と期待されます。しかし、これまで医療分野を、日本経済を牽引する「産業」として育成する視点は弱かったと思います。今後は、地域経済の発展に向けて地域医療の効率化などシステム改善に取り組むと共に、特に考えていく必要があるのは、バイオ医薬品、医療機器、再生医療等の医工連携による革新的技術を生かした産業の強化です。これらは技術集約的な高付加価値産業であり、日本経済の中核産業に育つポテンシャルを有し、また国民さらには人類の健康、医療水準向上に貢献する事から、国の戦略産業として重点的に支援する価値があるものと考えています。

 高度な医療技術を強い産業に育てるということは、iPS細胞を見出したように、日本が世界最先端の優れた技術を次々に生みだし、それを実用化して世界中に普及させる産業に育てるということです。そのためには、産学官が一体となってバイオ研究を更に重点的に支援し、また、研究の活性化に資する指針・インフラなどの環境整備により、日本の基礎技術レベルを向上させることが必要です。

 更に、その最先端技術を円滑に実用化につなげる制度作りも大切です。これまでの制度作りにおいては、とかく欧米に倣ってきた事が多かったと思いますが、これからは日本が世界標準となる制度を作るぐらいの意気込みが必要だと考えています。つまり、技術と制度の両面で、日本が、世界に先駆けたものを作っていく。これが、国際競争力ある産業育成に必要な事と考えています。

 また、強い産業に育成していくためには、強固な産業構造を構築することも不可欠です。そのためには、活力ある中小企業、特にベンチャーがしっかり支える産業構造が必要ですが、日本のバイオベンチャーはまだまだ脆弱です。政府・産業界・大学等が、日本の発展に必要不可欠なバイオベンチャーを「皆で育てる」という意識をもって、一層支援していくことが必要と考えています。

 08年末に、政府の規制改革会議が打ち出した第3次答申において、ライフサイエンス分野では、臨床研究における指針見直し・ガイドライン作りや、再生医療における医工連携促進のため、現行の制度にとらわれることなく、最も適切な制度的枠組みを議論すること等が決定しました。これまでは無理と思われた改革が動き出しています。

 09年は、この動きを、勢いある本当の動きにすることができるか、我々の改革意欲の真価が問われる年になると思います。産学官が力をあわせて取り組むことが必要です。一緒に頑張っていきましょう。


+BTJJ+