皆様、新年おめでとうございます。

 2008年は、バイオリファイナリー分野にとっても、まさに激動、混乱の年でした。前半は、バイオ燃料の増産に伴い、食料価格が高騰し世界規模でバイオ燃料への懸念が急拡大しました。なにしろ、トウモロコシは前年の倍以上の記録的高値まで上昇したのですから。その後は、ご承知のように、金融クライシスとともに急落しましたが、食料資源を原料とするバイオリファイナリー産業(バイオ燃料、化学品の製造)は、CSR(企業の社会的責任)の観点からも成り立たないとの認識を産業界は強く認識した年となったわけです。

 さて、09年ですが、我々地球環境産業技術研究機構(RITE)と共同研究企業陣営としては、経済情勢の急激な悪化の情勢においても、RITEバイオプロセスによる、セルロース原料エネルギー・化学品製造の早期工業化は、当初の計画通り、いや計画を速めての実現をも視野に入れてとり進めてまいります。

 経済情勢の低迷の局面においては、「製品選定に対する消費者の選択」は一層厳しくなるわけで、“真に環境によい製品”提供が必須となるわけです。当然のことながら、工業化に際しては、製造コストも厳しい水準が求められることとなります。たとえば、セルロースエタノールのプロセスにおいても、「混合糖からの同時変換」の技術開発ができず、2段醗酵式(C5糖と、C6糖を別個の醗酵装置で変換)などで対応を計画していた企業(相当数ありますが)は厳しい選択を迫られることとなるでしょう。いわば、真の経済的選択圧が課せられるわけです。

 化学品の製造も同じように、セルロース原料からの製造技術を持たずして、食料資源からの製造を計画し、“将来は非食料からの製造”をと、述べるだけの企業は当然淘汰されるわけです。バイオリファイナリー分野における、「バブルの崩壊」が始まったわけです。以上を総括いたしますと、09バイオリファイナリーとしては厳しい経済情勢といえども、実効ある目標設定が明示される歴史的な年となると期待します。

 トップランナーの米国の動向を予測してみましょう。まず、「セルロースエタノールの技術実証設備」の建設が本格化します。07年、ベンチャー企業や米DuPont社などの大手企業が数万kLのパイロット設備計画を明らかにしましたが、それらが動き出します。次に「石油化学からグリーン化学への転換」の事業化計画が相次いで発表されるでしょう。まずは、セルロースエタノールからエチレン製造計画、続いて、セルロースプロパノールからプロピレン製造計画、この他C3、C4プラットホーム化学品ですね。 研究開発面では、次世代バイオ燃料のバイオブタノールに関する研究開発競争の激化は確実でしょう。

 このような激しい環境の下、私どもRITEでは早期工業化を一層促進すべく、研究機能の増強を計画しております。具体的には、システムバイオロジー研究機能増強と、産業界への技術移転促進のためのベンチスケール研究機能の充実です。官・産業界のご支援を受け計画を推進する予定です。

 システムバイオロジーの成功には、研究資源の集中投入が必須です。まさに、「兵力の逐次投入は最も愚作」の典型な分野ですね。研究資源投入の遅れは米国のみならず、アジア諸国の企業にも水をあけられてしまうでしょう。バイオリファイナリー産業化戦略では米国に先行されてしまった事実を真正面から見据え、日本の独自戦略を産・官・学連携で打ち出しましょう。まだ十分間に合います!


+BTJJ+