2008年2月から、広島県呉市の中国センター内バイオマス研究センターにおいて建設を進めてきたバイオエタノール実験プラントの稼働が始まる予定です。09年は、次世代型セルロース系バイオエタノールの研究が、実証段階へ近づく大切な年になります。

 実験プラントは、産総研の新規産学官連携プログラム「産業変革イニシアティブ」における、「中小規模雑植性バイオマスエタノール燃料製造プラントの開発実証」において建設中です。基本的にバッチ式で、一度に200kgの木から、50から60Lのエタノールが生産出来る規模です。

 プラントのメカノケミカル処理、酵素糖化・エタノール発酵などの要素技術には、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究「バイオマスエネルギー先導技術研究開発-バイオフューエルチャレンジ」などの研究成果が使われています。私たちエタノール・バイオ変換チームは、糸状菌による酵素糖化と酵母によるエタノール発酵を担当しています。

 08年は、好景気で石油が高騰した後、景気後退で価格が急降下した大変な年でした。ガソリン代替燃料であるバイオエタノールの動向も、石油価格に大きく影響されます。石油の高騰を期待しているわけではありませんが、景気の波と石油価格の動向が注目されます。また、米国のバイオエタノール増産は、ブッシュ大統領の政策であったわけですから、バイオ燃料に好意的とも伝えられる新政権の考え方も気になります。

 国内では、07年から販売が開始されたエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)を含む「バイオガソリン」とバイオエタノールを直接混合したE3を、今後どのように推進していくのか、残念ながら2008年にはその方向性がなかなか見えてきませんでした。個人的には、電気自動車が注目される中、プラグインハイブリッド車用燃料として、バイオエタノールは中期的に重要であろうと考えています。

 国産バイオエタノールの経済性はなかなか厳しいと予想されますが、関係の皆様のご協力を頼りに、食料や飼料と競合しない、経済性の高いバイオエタノール製造技術を目指して研究開発を進めていきたいと考えています。


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