浅原弘嗣・国立成育医療センター研究所移植・外科研究部部長は、3次元(立体)に時間軸を加えた4次元でマウス胚・胎児の表現形質を観察できるWISHデータベースを構築した(BTJジャーナル07年5月号P.6-7参照、関連記事1)。1カ月1遺伝子のペースを大幅に高速化、1600遺伝子の解析をほぼ1年で達成した。

 文部科学省ゲノムネットワークプロジェクト(GNP)に参画して取り組んでいるもの(関連記事2)。WISHは、マウス胚・胎児におけるホールマントin situハイブリダイゼーション。ノックアウトマウスやトランスジェニックマウスの表現系も登録できる。

 WISHのシステム開発では、3次元画像のデータベース(DB)化を進め、DBの規格提唱を進めている。ぐるぐる回るカメラでマウス胚・胎児を撮影した画像がデータベースになっているので、マウスでクリックした方向からの画像を観察できる。

 マイクロスコープ・画像観察のパイオニアであるハイロックス(東京・杉並、上代洋一社長)と共同でこのシステムを開発した。動物個体(胎児マウス)で遺伝子の発現を細胞単位で観察できる空間解像度に優れるので、発生・分化の研究で威力を発揮している。

 浅原部長は、球出しという研究成果を、迅速に網羅的に前線に送る“ポストゲノムハイウェイ”システムを創製しようと、3年前からゲノムネットワークプロジェクト(GNP)に参加、発生分化を制御する転写制御ネットワークの解明で成果を挙げている。

 このハイウェイ構築のために、上記のWISHを含め、3つのシステムを整備した。あと2つは、1)細胞ベースのハイスループット(HTP)トランスフェクションアッセイ、2)高精度でたんぱく質のゲノム上の位置を決定できるChIP-chip(DNAチップを使用して染色体上のたんぱく質結合プロファイルを分析する手法)アッセイだ。

 GNPが始まった時分、HTPはNovartis社、WISHはHarvard連合などが成果を発表しており、ChIP-chipのアレイは丁度出始める頃だった。浅原部長はGNPに参加し、実質2年でこの3つを一気に立ち上げた。

 まずは、間葉系幹細胞から軟骨細胞への分化で重要な転写因子Sox9を「わかりやすいから」という理由で解析対象に選び、ハイウェイに乗せて成果を挙げている。(河田孝雄)



詳しくは、BTJジャーナル07年5月号P.6-7をご覧ください。

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