***** seminarMLから情報転載 *****

日時:6月21日(木)午後5時ー6時
場所:医学部教育研究棟6F 細胞情報研究室
演者:清野研一郎博士(聖マリアンナ大、難治研)
演題:NKT細胞の機能と脂質生物学との関連


抄録:Natural Killer T (NKT)細胞はT細胞抗原受容体とNK細胞マーカーを
併せ持つことからこの名前がついた。T細胞の中のユニークな一画分と考えら
れる。NKT細胞のT細胞抗原受容体アルファ鎖はマウスではVα14-Jα281、ヒト
ではVα24-Jα18というただひとつの再構成遺伝子によってコードされており
多様性が無い。NKT細胞はこの抗原受容体を用い、抗原提示細胞のCD1d分子上
に提示された脂質性抗原を認識する(通常のT細胞はMHC上のペプチド抗原を認
識する)。その抗原として糖脂質ア-galactosylceramide (ア-GalCer)が有名で
あるが、これは元来海綿から抽出された物質であり哺乳類にとって完全な外来
抗原である。最近、細菌細胞壁の糖脂質の一部もNKT細胞の抗原として働きう
ることが明らかとなったが、やはりこれも外来抗原である。いくつかの事実か
らNKT細胞は自己反応性T細胞であると考えられるが、哺乳類におけるNKT細胞
の内在性リガンドの正体は不明であり、この解明は基礎免疫学における大きな
テーマの一つである。
NKT細胞は自然免疫系と獲得免疫系の橋渡し役を担い、様々な免疫反応におい
て重要な役割を果たしていることがこれまでの研究で明らかとなっている。興
味深いことにNKT細胞は免疫系に対し活性化・抑制両方の作用を及ぼす。NKT細
胞が免疫活性化に関わる例としては、細菌・ウイルス等に対する感染防御、が
ん発症・転移の抑制、アレルギーや実験的脳脊髄炎(EAE)の発症などが挙げ
られる。一方、免疫抑制作用としては、移植免疫寛容の維持や自己免疫疾患
(やはりEAE)の発症制御において機能しうることが示されている。我々はこ
のNKT細胞機能の2面性を司る仕組みの一端として、NKT細胞の活性化状態(急
性か慢性か)が重要であり、そのことで免疫制御性サイトカインIFN-γ及び
IL-10の産生能が大きく変化し制御性樹状細胞や制御性T細胞の出現がコントロ
ールされていることを明らかとしてきた。
本講演ではNKT細胞の生物学的特徴と生体内での機能について解説し、脂質生
物学との接点についてディスカッションしたい。また、最近我々が発見し樹立
したミュータントマウスの観察でiPLA2に関する興味深い知見を得た。NKT細胞
のトピックからは多少離れるが、この点についてもあわせて紹介し皆様のご意
見を頂戴したいと思う。

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東京大学大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻
生化学分子生物学(細胞情報研究部門)
教授 清 水 孝 雄
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電話 03-5802-2925(研究室)、03-3813-8964(教授室直通)
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