日経BP社が主催する2007年(第17回)「日経BP技術賞」の表彰式が本日(2007年4月6日)、都内のホテルオークラで開催された(関連記事1)。

 日経BP技術賞は、日経BP社がわが国の技術の発展に寄与する目的で創設したもの。毎年1回、電子・情報家電、情報通信、機械システム、建設、医療・バイオ、エコロジーの各分野で、産業や社会に大きなインパクトをもたらす優れた技術を表彰する(関連記事2)。

 大賞に選ばれたのは、まつもとゆきひろ氏の「プログラミング言語Ruby」。1993年に開発されたオープンソースのスクリプト言語で。Javaに比べてコーディングが容易で生産性が高いといわれている。2005年に正式リリースされた高生産性ウェブ・アプリケーション・フレームワーク「Ruby on Rails」により、ウェブ上の商用サービスや業務システム、自治体公式サイトなどビジネスでの利用も広がった。

 Web.2.0時代に適した日本発のオブジェクト指向言語であるRubyは、バイオインフォマクティクスの世界でも急速に実績を伸ばしている。Ruby言語用のバイオ版ライブラリーである「BioRuby」(http://bioruby.org/)のGoogle検索ヒット数は現在約11万件。ここ1年ほどで倍増した(関連記事3)。

 「バブルがはじけて暇だったので、自己研鑽もかねて開発を始めた。海外のRuby書籍は30冊以上、国内は50冊以上になる。成熟した産業では機能や性能よりも感性が重要。プログラミング言語は、ITではもっとも成熟した領域。Rubyは感性が評価され、世界中に広がっていった」と、まつもとゆきひろ氏(現在は、ネットワーク応用通信研究所・基盤研究グループ特別研究員)は受賞の喜びを語った(写真は懇親会で挨拶するまるもとゆきひろ氏)。

 表彰式には、「Rubyのメッカに」と06年7月、JR松江駅前に「松江オープンソースラボ(松江市開発交流プラザ)」を開設した、島根県松江市の松浦正敬市長も参加。「Ruby City MATSUE」という5年間のプロジェクトを近くスタートさせることを懇親会の挨拶で明らかにした。まつもとゆきひろ氏が現在所属するネットワーク応用通信研究所は、本社が松江市にあり、Rubyを活用した事業を展開している。松江市では、松江オープンソースラボを、オープンソースソフトウエア(OSS)に特化した研究・開発・交流のための拠点として開設、誰でも自由に無料で利用できるよう開放し、地域のIT産業振興を図る考えだ。

 一方、医療・バイオ部門賞は、山中伸弥・京都大学再生医科学研究所教授と高橋和利・京都大学再生医科学研究所助教(特任助手から07年4月に着任)の「マウス体細胞の初期化技術」と、成松久・産業技術総合研究所(AIST)糖鎖医工学研究センター長の「糖鎖遺伝子ライブラリー」の2件。

 「マウス体細胞の初期化技術」は、高橋和利・助教が表彰式の壇上に立った。山中教授は、大阪市で4月8日まで開かれる第27回日本医学会総会で学術講演の初日にあたる本日、シンポジウム「いのち-S01 ES細胞と体性幹細胞-幹細胞医学と再生医療-」にて講演のため、日経BP技術賞の授賞式には参加しなかった。

 「糖鎖遺伝子ライブラリー」の成松久センター長は5月16日、「糖鎖産業技術プレフォーラム ?『糖鎖産業フォーラム』のためのプレフォーラム ?」をAIST臨海副都心センターにて開催する(関連記事4)。(河田孝雄)



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