日経BP社が主催する2007年(第17回)の「日経BP技術賞」がこのほど決定した。表彰式は07年4月6日にホテルオークラにて開催される。

 日経BP技術賞は、日経BP社がわが国の技術の発展に寄与する目的で創設したもの。毎年1回、電子・情報家電、情報通信、機械システム、建設、医療・バイオ、エコロジーの各分野で、産業や社会に大きなインパクトをもたらす優れた技術を表彰する。今回第17回を迎えた(関連記事1)。

 今回は2006年中に開発された技術の中から、審査委員会(委員長:田中昭二国際超電導産業技術研究センター副理事長)が、以下の大賞と部門賞を選出した。

 大賞は、まつもとゆきひろ氏の「プログラミング言語Ruby」に決定した(関連記事2)。このほか11件の部門賞を決めた。

 医療・バイオ部門賞は、山中伸弥・京都大学再生医科学研究所教授と高橋和利・京都大学再生医科学研究所特任助手の「マウス体細胞の初期化技術」(関連記事3)と、成松久・産業技術総合研究所(AIST)糖鎖医工学研究センター長の「糖鎖遺伝子ライブラリー」の2件に決まった。各々の授賞理由は次の通り。

■マウス体細胞の初期化技術
 山中伸弥・京都大学 再生医科学研究所 教授
 高橋和利・京都大学 再生医科学研究所 特任助手

 マウスの胎児と成体の線維芽細胞に四遺伝子を導入し、増殖能や多分化能を持った細胞を誘導する「初期化」に成功し、iPS細胞(induced Pluripotent Stem Cell)と命名した。これまで、体細胞を初期化する方法として知られているのは、「未受精卵に体細胞の核を移植する方法」と「ES細胞と体細胞を融合する方法」しかない。特定の因子を与えることで体細胞を初期化することに成功した報告は初めてである。

■糖鎖遺伝子ライブラリー
 成松 久  独立行政法人産業技術総合研究所 糖鎖医工学研究センター センター長

 たんぱく質に糖鎖を付加する糖転移酵素について、170以上の遺伝子ライブラリーを構築。同グループで開発した自動合成ロボット「糖鎖構造解析システム」と組み合わせ、糖鎖技術の応用を図るプロジェクトを2006年度から立ち上げた。ゲノム情報から糖転移酵素“らしさ”を抽出するアルゴリズムを開発し、候補遺伝子を探し出してクローニングし、機能を解析してライブラリーに追加した。追加した39の遺伝子については、新たに特許を取得した。

 山中教授、高橋特任助手の技術の詳細は「BTJジャーナル」06年10月号P.11-13、成松センター長の技術の詳細は「BTJジャーナル」06年4月号P.2-5に掲載している。(河田孝雄)

【日経BP技術賞の審査委員】(敬称略)
審査委員長
 田中 昭二  国際超電導産業技術研究センター副理事長

審査委員
 大石 道夫  かずさディー・エヌ・エー研究所所長
 岡田 恒男  東京大学名誉教授
 川島 一彦  東京工業大学大学院理工学研究科教授
 木村 文彦  東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻教授
 小林 繁夫  東京大学名誉教授
 後藤 滋樹  早稲田大学理工学部情報学科教授
 櫻井 靖久  東京女子医科大学名誉教授
 鈴木 基之  放送大学教授
 谷本 勝利  埼玉大学工学部建設工学科教授
 中川 正雄  慶應義塾大学理工学部情報工学科教授
 永井 良三  東京大学医学部附属病院長
 永田 勝也  早稲田大学理工学部機械工学科教授
 中野 栄二  千葉工業大学総合研究所教授
 西村 吉雄  早稲田大学客員教授
 水野 博之  大阪電気通信大学副理事長
 安田 浩   東京大学国際・産学共同研究センター教授
 山本 良一  東京大学生産技術研究所教授
 脇  英世  東京電機大学工学部情報通信工学科教授

 ※受賞者および審査委員の所属・肩書きは選考時点のもの


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