生命の設計図であるゲノムの情報発現、安定性、多様性、環境応答、進化 におけるエピジェネティクスの重要性が益々高まっている。そんななか、昨年12月、名古屋にこの分野の主な研究者が集まり、日本エピジェネティクス研究会の旗揚げが決定された。今年の6月には分野横断的な研究交流を目指して大阪大学で第1回の年会が開催される。

 2007年は日本のエピジェネティクス研究の新たなスタートの年になるはずである。

 もともと日本はこの分野で世界的に見てもハイレベルの研究成果を上げて きた。今後は網羅的なエピゲノム解析技術を用いた生殖細胞、幹細胞、様々な体細胞、がんなどの研究が進むであろう。また、DNAメチル化、ヒストン修飾、non-coding RNAやsmall RNAなどのエピゲノム制御のネットワークの解明も期待される。精神神経疾患や様々な慢性疾患とエピジェネティクスとの関係も注目を浴びつつある。今後の展開から目が離せない。

 それにしても、一昔前と比べると、Nature、Cell、Science等の一流誌に掲 載される日本の研究者の論文数は格段に増えたように思う。しかし、一方で、みんな大型研究費の獲得に奔走し、激しい研究競争の中、データや論文をねつ造する者まで表れる始末。「学問の品格」が問われているのではなかろうか。また、研究費を獲得するためには、常に「何の役に立つのか」という目に見えるアウトプットを要求され、場合によっては数値目標が課される。これでは日本の基礎研究はいつか潰れてしまう。

 学問的に優れた研究を正し評価し、地道な基礎研究をサポートする必要があるとともに、大型プロジェクト型研究と個別研究とをうマッチさせる工夫が要求されている。

 新年には、若者が夢を持てる研究世界の始まりを期待する。


※編集部より※佐々木教授のインタビュー記事を掲載したBTJジャーナル06年7月号は無料でダウンロードできます。

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http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/pdf/btjjn0607.pdf



2007年新春展望特集


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