ミレニアム・ゲノム・プロジェクトは、2004年度までに、痴呆、がん、糖尿病等の疾患の遺伝子の解明に基づくテーラーメイド医療を実現目標として発足しました。この巨億の研究費による産官学共同プロジェクトに国民は期待していました。しかし、プロジェクト終了後の2005年の最終評価報告書以外は、新しい疾患遺伝子多型の名称さえ秘密です。まして肝心の実現目標であるテーラーメイド医療を本格的に始めた施設はありません。

 なぜなら現状では下記の10の障害を克服しなければならないのです。一般人の73%が多型検査を希望し、医療者の73%もその意義を認める時代になりましたが、約8万円の日帰り人間ドックにオプションで多型検査を入れるには、今の分析技術は時間、価格、分析者のいずれも無理です。また多型別の食生活指導者も欠けています。日本の多型関連の治験、コホート研究の欠陥も大きいのです。

 このままでは多型を持つ日本人の健康は守れないので、女子栄養大学で、一つ一つの問題を解決しながら、栄養クリニックや坂戸市でテーラーメイド栄養指導を社会へ初めて試行しています(関連記事)。

※テーラーメイド医療の実現に必要な事項 現状 克服目標

【人体レベル 臨床医学】 
1)倫理問題  多型と不治遺伝子病の混同、不安煽動 予防可能多型の告知の利点周知
2)専門医   遺伝子医学10学会方針のみ       遺伝子医療専門医の実践能力
3)生活指導者 管理栄養士・保健師の知識不足    生活アセスメント・具体的生活指導
4)長期治験  多型の指導指針が未知・短時間      無投薬の多型別長期治験が理想
5)医療保険  予防的な多型検査費は自己負担    予防に有効な遺伝子検査費の支払

【分子レベル 遺伝子解析技術】
1)価格 分析費用 1多型判定は1万円前後      十数種の多型判定に1万円以下
2)時間 分析時間 2日前後(単純な多型の場合)   数時間以内(人間ドック指導用)
3)人材 分析者  分子生物学者・博士課程院生   短大卒程度の臨床検査技師
4)対象多型    一塩基多型(SNP)のみ       SNP+欠失・挿入+反復配列
5)採取検体    採血(有資格者)、口腔(不正確) 爪等の郵送可能検体、微量血液

※2007年に注目している3つのキーワード
1.テーラーメイド栄養指導
2.プロヒビチンと肥満制御
3.遺伝子多型の迅速簡易分析


※香川副学長のインタビュー記事を掲載したBTJジャーナル06年8月号は無料でダウンロードできます。

BTJジャーナル06年8月号の直接ダウンロードはこちらから(約10.8MB)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/pdf/btjjn0608.pdf


2007年新春展望特集


+オピニオン+食の安全++