新年に当たり、個人的見解ではあるが、2007年および本年が分岐点となる更なる将来への展望と抱負について述べたい。
 「再生医療実用化元年」。07年は将来そのように呼ばれるかもしれない。従来の医薬品や医療機器では、成しえなかった治療に道を開く可能性を持つ再生医療は患者さん本人や家族からながらく待たれてきたが、いよいよ実用化も近いのではないか。

 「総合機構の体制強化」。新型インフルエンザワクチンなど緊急案件を処理しなければならない生物系審査部の体制は一足先に20名から30名への増員が認められ4月から順次増員されるが、機構そのものの体制が欧米の審査庁(FDA2600人、欧州は英独仏ほかで計3000人超)に比べてけた違いに小さい組織で、質を落とさず審査の迅速化をはかるには現状(機構定員346人は副作用被害救済事業を含む)では限界であり、機構の将来像が議論されている。もちろん、これからの新薬の中心となるのはバイオロジックスであることを考えても、生物系審査の体制の飛躍的拡充は必須である。

 「トランスレーショナルリサーチ(TR)支援」。政府予算案でも医療の実用化を迅速化するため、TR重視となっている。大学やベンチャー企業による開発が期待されるバイオロジックスに生物系審査としても積極的に対応してゆきたい。昨年は、再生医療の相談体制の強化を行ったが、本年は資料整備相談など新たな治験相談のメニューを創設し、ノウハウや体制の不足を補い実用化に協力したい。臨床研究のうち、薬事申請を目指す医師主導治験についても、積極的に取り組みたい。FDAでは臨床研究のIND審査や審査能力向上のための研究組織を有しており、機構の将来像を考える際に検討に値するのではないか。

 「アジアゲートウェイ」。イノベーション25でも医薬品・医療機器は重点であるが、新薬開発において我が国はアジアに積極的に貢献すべきである。アジア各国では欧米開発薬の臨床試験の一部が実施されているが、新薬の開発そのものは一朝一夕にできるものではない。市場である十分な人口を有し(韓国の3倍)、膨大な国費を医療に費やし(中印など非日本のアジア・アフリア・豪を併せて世界の8%。我が国単独で12%の薬剤市場)、また基礎・非臨床・臨床の研究者を有し、豊富な審査経験(医薬品規制ハーモナーゼーションについて話合うICHは日米欧がメンバー)を有するのは、アジアでは我が国だけであり、伝染病原体の亜型や遺伝的なハプロタイプの欧米との違いを考えても日本に新薬開発の重大な責務があるといえる。総合機構は、アジア各国審査官を招聘し共同審査を行い、将来的に日本で審査されたものはアジアで受け入れられるよう「アジアの出入り口」としての環境整備を続ける必要がある。

 以上私見を述べたが、バイオロジックスについては、将来に影響を与える20年ぶりの大きな波が来るのは確かと思う。



2007年新春展望特集



+オピニオン+細胞工学+++