本年は、RNAi創薬が新薬開発のパラダイムシフトを本格化する年であると言える。
 RNAiの発見によって、これまで不確実であった新薬開発の治療原理を薬理実験において容易に検証できる手段を手に入れたからである。
 また、個々の患者さんから得られる疾患遺伝子の解析データは探索シーズの最も重要な情報資源である。ゲノム創薬はそのようなアプローチの総称であるが、一番の期待の星はRNAi医薬の誕生である。
 今年中には20品目程度のsiRNA医薬が臨床試験に突入する勢いにある。しかし、「RNAよ、お前もか!」ではないが、わが国の新薬開発の競争力はこの段階で大きく出遅れることになる。原因はいろいろあるが、国際競争力をつけるためには是非とも次世代医薬に対する臨床治験の環境を十分に整備していただきたい。
 当然の気持ちであるが、自前でつくった医薬品は是非とも最初の臨床試験を国内で開始したいのである。試験期間の短縮は新薬開発の最大の課題である。RNAi医薬は、その核酸分子の物性から、一通りのプラットフォーム技術が確立すれば、極めてスピーディーな開発が可能になる。
 また、RNA原料は酵母菌などの醗酵生産から無尽蔵に調達することができることから、天然資源の乏しいわが国のお国事情にも適している。わが国の醗酵化学と合成化学、それにナノ粒子のような高分子化学は世界にも十分に通用する技術水準にある。RNAi医薬は日本のお家芸になれる創薬分野であるかもしれない。


2007年新春展望特集



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