脳科学は多くの学問と同様に20世紀に爆発した。
 19世紀にはやった骨相学などといういかがわしいものと決別し、細胞興奮に伴うイオンの働き、シナプスで作用する神経伝達物質の同定、シナプス可塑性の本態、fMRIやPETなどによる脳機能画像法の開発、脳で発現する遺伝子の網羅的解明、成熟脳でも起こる神経細胞の新生、遺伝性アルツハイマー病の原因遺伝子の同定など、深く、鋭く、幅広く、脳科学は発展した。
 21世紀に入った今でも、遺伝子や分子などのバイオからのアプローチによる脳科学と、機能画像を縦横に駆使した機能システムからのアプローチによる脳科学の両極があり、これを結ぶ努力が盛んである。
 それがまだ成功していないのは、この両極の「解像力」が著しく異なっているためと言えよう。この両者の解像力を近づけ、高次脳機能を本格的に解明するには「細胞レベル」の神経活動を無侵襲的に捉える必要がある。これが21世紀の課題であろう。

2007年新春展望特集


+オピニオン+中枢神経+++