かつて日本における食の問題の中心は、いかに栄養素を効率よく摂るかという点にあったが、今は食を通していかにより健康な生活を送られるかという点に移行してきている。そんな時代を反映して、世の中では、健康に寄与するいわゆる体に良い物と、食の安全・安心に関心が集まっている。

 食品の有する機能性に関する研究は生薬学、食品学分野等で非常に精力的に行われてきているが、安全・安心につながるリスクコミュニケーションに関してはしっかりした考え方が確立していない。そのため、健康食品に関しては、全く無茶苦茶な情報が一般社会に氾濫しているのが現状である。

 これが、食品添加物や農薬の問題となってくると別な意味でもっとひどく、これらに対するパッシングには目に余るものがある。こうしたナンセンスというべきパッシングが多くの市民に容易に受け入れられる精神的基盤には水俣病、ヒ素ミルク中毒事件、PCB油症と言った数多くの化学物質による健康障害の歴史がある。

 しかし、ここ数年整備されてきた食品添加物、残留農薬などを含めた食に関する規制に正しく従っている限りにおいては、そのリスクにまさる大きな利点があるが、それはまるで無視されている。利点とリスクの分岐点を理解し、一般の人々に正しく伝えることのできる人材の育成をすることは、食育の一部として急務であると考えている。本年もその実現に向かってがんばる所存である。


2007年新春展望特集


+食の安全+オピニオン+++