農業は産業であり、産業の発展には新しい技術が不可欠です。例えば米国では、ダイズの新品種が毎年のように多くの種子会社から提供され、農業生産者は自分の栽培に適した品種を選べるようになっており、収穫量の増加にこうした新品種が大きく貢献しています。品種が次々と開発され、1つの品種が市場にあるのは3年から5年と言われています。

 しかしながら日本の農業ではそうした視点がないという問題があります。イネ、ダイズ、ジャガイモなどは30年以上同じ品種を栽培し続けているのが日本農業の特徴と言えます。農業生産者や消費者のニーズに合った品種の開発が実績を上げていないのが実情です。栽培しづらいのに仕方なしに栽培するといったことが行われています。イネを含めた日本の農業の課題の1つは、新しい民間技術への規制です。農業には様々な目に見える規制と目に見えない規制があり、これまで民間育種されたイネ品種で大きく成功したものがないのも、こうした規制によっている部分が大きいと認識しています。

 弊社は今年、こうした課題を地域農業と結びつけることで克服していくべく、弊社が育成したイネ新品種「とねのめぐみ」の種子販売を通して「民間活力による農業の活性化」を意識した新しいビジネスモデルの確立を目指します。この品種はこれからの日本の稲作を担う技術である乾田直播用に目標設定して開発され、極良食味、多収、短稈で高い耐倒伏性などの特徴を持ち、農業生産者からも消費者からも歓迎されると確信しています。こうした形質はこれまでの移植栽培にも大事であり、乾田直播が進まない現状では、まず移植栽培向きに種子販売を行っていきます。

 さらに、弊社が力を入れている遺伝子組み換え作物においても、技術開発まで否定するということが行われている現状を打破するため、栽培時に必要な「共存」という新しい概念の議論を興すことによって、この技術を農業の振興にどう生かしていくのかというビジョンの議論へとつなげていきたいと考えています。日本の農業技術開発の閉塞的状況の打破に少しでも貢献できるよう、「民間活力で農業の活性化」を標語に、「とねのめぐみ」の新しいビジネスモデルの構築と遺伝子組み換え作物の受け入れ向上の2つのテーマを今年は地道に追求していきます。



2007年新春展望特集

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