世界に羽ばたく国際的キャリア開発の機会を若手バイオ研究者に提供するBIOCAMP2006 in Japan(主催、ノバルティス ファーマ、ノバルティス科学振興財団)の基調講演で、大阪大学の森下竜一教授が基調講演を行い、今やバイオ研究は産学連携を超え、ベンチャー創業に着手する段階に入ったと強調した。
 バイオ研究は急速に進展しており、大学内での技術開発の段階から、産学連携を通じた技術開発と特許、マーケティングの段階に達した。今後はさらに、ビジネスモデルを加えたベンチャー創業を強めなくてはならないと指摘した。
 但し、同氏自身、アンジェスMGの経験を率直に語り、ベンチャー企業創業と運営は決して容易ではないことも指摘した。
 若手研究者にバイオベンチャーは六本木ヒルズに本社を置いているITベンチャーのように早期に商品化が可能で、上場もあっという間にできるベンチャーとの違いを指摘した。その代わり、IT系ベンチャーの商品開発は短く、商品開発やマーケティング、企業買収などを続けなくてはならない。
 一方、バイオは風雪に耐えて歯を食いしばって商品化を進めなくてはならない非常に希な分野。バイオの成功例である米Amgen社は創業から株式上場まで9年、米Biogen社は18年もかかったことを忘れてはならない。
 また、倫理(コンプライアンス)も重要。会社が潰れても副作用を救済しなくてはならない分野。しかも、新薬の成功確率は1万5000分の1。「武田薬品の武田国男会長が良くおっしゃっている通り、ラスベガスよりひどいかもしれない」。
 しかし、ある調査によれば、バイオ産業に携わる従業員の満足度が高い。「苦しいんだが、楽しいというのがバイオベンチャーの醍醐味だ」(森下教授)。
 バイオベンチャーの目的は、上場することでも、会社を作ることでもない、社会のアンメッツニーズに対して、解決策を提案し、社会に価値を提供することが目的であることも、忘れてはならないと森下教授は釘を刺した。(宮田満)


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