「誰が実行行為者か、結果的に関わりをもつことになった上司や同僚は何の責任を問われているのか、ミスコンダクトの疑惑の議論に入れていただきたい。何に基づく責任を問われているのかを考える習慣が必要」──。

 2006年2月24日に都内で開催したBTJジャーナル創刊記念セミナー「科学者の論文ねつ造事件の背景とその防止策」では、政府の総合科学技術会議の知的財産専門調査会に参画する竹岡八重子弁護士がパネルディスカッション「どう防止し、社会の信頼を回復するか」に参加。「この会場で法学家はおそらく私一人と思う」と語った竹岡氏は、ミスコンダクト疑惑の議論について相次ぎ、重要な問題的を指摘した。

 竹岡氏はまず、ミスコンダクトの疑惑が生じたときの議論の仕方として、「責任の分界」をきちんと議論する風土が必要と指摘。冒頭のコメントを含む具体的な内容を披露した。

 2番目に、手続きの公正に気をつけるべきと指摘。東大の例のように、外部専門家による匿名の報告書は「弁護士の常識からすると、普通ありえない」とコメントした(関連記事1)。

 3番目に予防策の大事さを指摘。「倫理的な教育とともに、ハウツーのレベルまで落としてわかりやすく取り決めしておくことが大切」とコメントした。

 さらに、授業料を払いながら無給で研究を行うという日本の学生研究者の仕組みも改善すべきと、竹岡氏は強調した。「米国ではきちんと雇用契約を結び、それに伴う責任を義務として負っている。授業料を払っている学生は受益者なので、問題を起こしたときの責任に関する議論はぼやっとしてしまう。日本ではこのような問題に敢えて目をつぶっている中で、若い人は競争を強いられている」と竹岡氏はパネルディスカッションで語った。

 この創刊記念セミナーの議論の詳細は、3月末に公開したBTJジャーナル06年3月号(創刊第3号)に掲載中(ダウンロードは、こちらから)。


「BTJジャーナル」はPDFファイルを無料でダウンロードしてご覧いただける月刊誌です。

創刊記念セミナーのレポートは、3月号のP.5─8に掲載しています。

創刊セミナーのプログラムは、以下の通りです。

1.「論文捏造事件と科学の危機」
日本学術会議 会長
黒川 清 氏

2.「科学者に求められる行動規範」
日本学術会議 副会長 科学者の行動規範検討委員会 委員長
浅島 誠 氏(関連記事2

3.「何故、論文捏造事件が起こるのか? その背景と防止策」
愛知淑徳大学 文学部図書館情報学科 教授
山崎 茂明 氏

4.「理研の不正行為への基本的対応策」
理化学研究所 理事
土肥 義治 氏(関連記事3

5.「ブルーノート:紐育へ飛んだ日本企業の研究日誌」
協和発酵 バイオフロンティア研究所 リサーチフェロー
中野 洋文 氏

6.パネルディスカッション
「どう防止し、社会の信頼を回復するか」
浅島 誠 氏、山崎 茂明 氏、土肥 義治 氏、中野 洋文 氏、
竹岡 八重子 氏(センチュリー法律事務所 弁護士)
司会:宮田 満(日経BP社バイオセンター長)

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