「不正は、結果とプロセスの2つに分けるべき。結果についての議論は、事前調査でなかなかわからないが、2)プロセスに不正があったかどうかは、1カ月で大体のことはわかる」──。「事前調査はどこまでできるか」という問いに対して、理化学研究所の土肥義治理事はきっぱりと答えた。

 2006年2月24日に都内で開催したBTJジャーナル創刊記念セミナー「科学者の論文ねつ造事件の背景とその防止策」では、05年12月に「不正行為への基本的対応策」を発表した理化学研究所が、具体的な対応策まで明確に決めている点も含め、先進的な取り組みで成果を挙げていることが改めて明らかになった。

 具体的な対応策の例として、ラボノートブックは5年間の保管を義務付け、プログレスレポートは研究主宰の間は保存すべき、ということも明示している。

 「理研の研究費の大部分は税金。研究不正が起こった場合は、研究機関できちんと調査し、対応することを決めている」「不正の可能性が明らかになったとき、論文などの発表を取り下げるかとどうかについては、研究機関がとやかく言うべきではないが、少なくともジャーナルのエディターには報告するようにしている」などと土肥理事は表明した。

 この創刊記念セミナーの議論の詳細は、3月末に公開したBTJジャーナル06年3月号(創刊第3号)に掲載中(関連記事1)。



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創刊記念セミナーのレポートは、P.5─8に掲載しています。

創刊セミナーのプログラムは、以下の通りです。

1.「論文捏造事件と科学の危機」
日本学術会議 会長
黒川 清 氏

2.「科学者に求められる行動規範」
日本学術会議 副会長 科学者の行動規範検討委員会 委員長
浅島 誠 氏(関連記事2

3.「何故、論文捏造事件が起こるのか? その背景と防止策」
愛知淑徳大学 文学部図書館情報学科 教授
山崎 茂明 氏

4.「理研の不正行為への基本的対応策」
理化学研究所 理事
土肥 義治 氏

5.「ブルーノート:紐育へ飛んだ日本企業の研究日誌」
協和発酵 バイオフロンティア研究所 リサーチフェロー
中野 洋文 氏(関連記事3

6.パネルディスカッション
「どう防止し、社会の信頼を回復するか」
浅島 誠 氏、山崎 茂明 氏、土肥 義治 氏、中野 洋文 氏、
竹岡 八重子 氏(センチュリー法律事務所 弁護士)
司会:宮田 満(日経BP社バイオセンター長)