これまでの生化学が培ってきた知見、ノウハウをいかに活用して(“温故”)、未知の分野を開拓していくか(“知新”)を目指す──。大会長をつとめる大阪大学大学院医学系研究科の高井義美教授が「温故知新─ポストゲノム時代の生化学」を大会テーマに掲げた第78回日本生化学会大会が、2005年10月19~22日に神戸国際会議場・神戸国際展示場・ポートピアホテルで開催された。

 日経バイオテクは今週月曜日発行号(05年11月7日号)のバイオインテリジェンス欄で、この生化学会の特集記事を掲載した。

 日本生化学会は今回の参加者数は有料登録者のみでおよそ5000人という大規模な学会。昨年から始まった大会改革の一環で、参加登録費が無料になった大学学部学生の参加者を加えると、5500人規模だ。

 一般演題(ポスター発表)2128題(うちミニシンポジウムでの口頭発表にも採択18題、ワークショップでの口頭発表にも採択741題)、シンポジウム8テーマ、ミニシンポジウム16テーマ、特別講演3題、マスターズレクチャー10題、モーニングレクチャー4題、バイオインダストリーセミナー(ランチョンセミナー)18題、日本生化学会奨励賞受賞講演5題、JB論文賞ポスター発表4題、パネルディスカッション、ラウンドテーブルディスカッション、それに企業説明会という充実したプログラム編成。

 中でも、出色はマスターズレクチャー。今は退官しているが、生化学的な研究で国際的な評価の高い研究者が、どのようにして研究を進め、大きな研究成果を得ることができたかなど、人生観も含めて講演するというプログラムで講師陣は松澤佑次氏、村上和雄氏、松尾壽之氏、別府輝彦氏、野澤義則氏、大村恒雄氏、川嵜敏祐氏、市原明氏、高橋禮子氏、真崎知生氏という充実ぶり。
 しかし、日本生化学会としては、学会の存在基盤について危機感を強めている。本会会員数が90~92年をピークに減少傾向にあり、現在は1万2000人を割り込んだ。年々会員を増やし1万6000人を超えた日本分子生物学会に、会員数で水を空けられている。

 今回の5000人という有料参加者数は実は、昨年の横浜の第77回大会に比べ1000人ほど少ない。ここ15年ほど大会の参加者数は6000人規模を維持してきただけに、減少した原因は何か、その解析を学会では進めている。04年に神戸で開催した第27回日本分子生物学会年会は参加者数が8500人だったのだ。

 次回(第79回大会)は、その日本分子生物学会(第29回年会)と共同の主催により06年6月18~23日、国立京都国際会館・京都宝ヶ池プリンスホテルで、国際生化学・分子生物学連合の国際会議として開催される。

 日本分子生物学会と共同で主催する大会は、1996年8月に札幌で初めて開催されて(大会長:北海道大学大塚栄子教授)以来、10年振り2度目の試みとなる。

 培ってきた知見を生かし、地に足の着いたバイオテクノロジーの主要学会として、今後さらに発展する分岐点に立っているともいえるだろう。(河田孝雄)

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