皆様、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。年頭にあたり、バイオの最前線で活躍のキーパーソン諸氏に2005年の大予測をしてもらいました。今年もよろしくお願いいたします。(編集部)

■生命倫理の議論が活発化する
(国立がんセンター垣添忠生総長)
2005年のバイオの世界は、先進的な医療技術の進歩と共に、生命倫理の問題が大きく出てくると思われる。法律の整備など、対策をそろそろ練らないといけない時期に来ている。
また遺伝子解析技術が進んできていることから、予測測医学や再生医療などが今まで以上に発達してくる。あとは、画像診断技術の進歩がめざましいため、分子イメージング技術に注目が集まるなど、仕事がら、医療面での話題に注目している。


■何とかBSE問題に結論を出したい
(内閣府食品安全委員会 寺田雅昭委員長)
ウシ海綿状脳症(BSE)は産業界にとって非常に大きな問題。何とか今年、結論を出したい。遺伝子組み換え作物については、食品としての安全性もさることながら、環境影響の議論のウエートが大きくなるのではないかと感じている。


■比較ゲノムの範を示したい
(農業生物資源研究所 佐々木卓治ゲノム研究グループ長)
昨年は、イネゲノムを「はだか」に出来た。次は、この辞書を参考にしながらばらばらのピースを組み上げていくことになるだろう。遺伝資源と比較することで、遺伝資源の持つ有用形質がどんな遺伝子に規定されているかを明らかにするような比較ゲノムを強力に進めていく。05年は、比較ゲノムの範を示していく年としていきたい。

■エピジェネティクスの国プロを提案すべきとき
(東京大学大学院農学生命研究科 塩田邦郎教授)
DNAメチル化などエピジェネティクスに対する関心が高くならざるを得ないと思う。包括的にエピジェネティクスを解析し、評価する国家プロジェクトを提案すべき」ときかと思っている

■バイオマスの活用が本格化する
(トヨタ自動車 バイオ・緑化事業部 築島幸三郎部長)
05年は、京都議定書の発効する年だ。バイオマス活用時代が本格化していく年になる。今までは、どうなるのだろうかというファジーな部分が多かったが、発効が決まり、取り組むべきことが見えてきた。企業の注目も高まってきたと感じている。バイオマスを活用しようという企業にとっては追い風となるだろう。

■創薬分野に進出したい
(ファーマフーズ 金社長)
05年はさらに健康へのニーズが高まるが、中でも老化と免疫がキーワードになるだろう。当社としては、漠然とした「予防」ではなく、「予防を促進する」食品を提案していきたい。「なるほど」といってもらえるものにする。これまで食品分野で鶏卵抗体生産を進めてきたが、05年は、創薬分野進出へのステップの年としても位置づけている。

■ 安全な原料への需要が高まる
(インビトロジェン 細胞培養チーム セールス&マーケティング 渡辺敏夫部長)
RNAi、 Microarrayの技術の躍進により遺伝子医薬開発が飛躍的に進歩する。また、ヒト組織を利用した研究により、副作用のない再生治療の開発に弾みがつく。その一方でBSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザなどの病気の発生に伴い、ますます安全な原料の使用(細胞培養製品:血清、培地、成長因子)への需要が高まる。また高齢化社会に備えて老化の仕組みの解明が進み、より一層の長寿化社会となって、これが社会保険制度の大きな負担となる。


■製薬のリスク低減の手法としてテーラーメード医療が注目される
(日興アントファクトリー 投資・調査チーム 伊藤勝彦氏)

ブロックバスターであったCOX-2阻害剤の販売中止で、投与前診断などのテイラーメード治療が再び注目される年になる。製薬メーカーはリスクの低減の手法を積極的に取らざるを得ない時期に来ている。
今年のIPOについては、既に黒字化を達成、かつ創薬シーズを持っている会社が数社登場予定。上場しているバイオテック企業の株価を、大きく変動させる可能性を含んでいる。ベンチャーキャピタル(VC)ファンドの募集は好調であり、投資資金は十分ある状況だ。しかし、市場が企業を選択しているのと同様、VCの投資企業への選択をおこなっている。
今年は資金調達できる企業と出来ない企業の2極化が進むと考えている。企業側からみれば力のあるリードベンチャーキャピタリストと組めるかが資金調達成功のカギだ。


■遺伝子改変マウス作製・保存・供給に関し、日中を軸としたアジアコンソーシアムを結成する
(熊本大学発生医学研究センター 山村研一教授)
 変異マウスだけでなく、いわゆるポストゲノムにおいて、米国、EUに対抗する第3勢力としてのアジアコンソーシアムの結成は急を要しています。日本だけでは太刀打ちできず、中国や韓国と連携する必要を感じています。EUの中国に対する関心は高く、出遅れると日本は世界から取り残されます。そのためには、民間同士だけでは、うまくいくとは限りませんので、日本の大学と民間のペアが、中国の大学と民間のペアとの間で、事を運ぶことを考えています。

■ 環境問題にバイオの進捗を期待
(クボタバイオセンター 倉根隆一郎所長)
天と地と激しく厳しかった2004年も過ぎ、2005年は人の健康と環境問題にバイオの進捗が図られ平和な年となりますように。

■抗がん剤「イレッサ」の耐性克服が最重要課題
(国立がんセンター研究所薬効試験部 西尾和人室長)
イレッサに耐性が出る仕組みの解明を進めたい。いずれ、イレッサに感受性EGFR(上皮細胞成長因子受容体)遺伝子をがん細胞に導入したいが、そのためにも感受性EGFRの詳細を調べたい。

■ ベンチャーの選択が始まる
(GBS研究所事業企画部川井 克紀氏)
大学発ベンチャー1000社計画が終わり、大学発バイオベンチャー
の本当の真価が問われる年。企業の選択が始まる年となる。


■ 目利きがいっそう重要になるはず
(かずさDNA研究所 大石道夫所長)
 日本国内のバイオの実力はかなり高くなってきたが、米国の例を見ても明らかなように、バイオで成功することは難しい。バイオというトレンドは続くと思うが、今まで以上に確かな目利きが必要になるはずだ。今年はそうした厳しいリアリズムがバイオに問われることになるような気がする。

■医薬品や食品開発の新しい評価系を提案したい
(総合医科学研究所 梶本佳孝社長)
高齢化社会が加速し、医療保険財政が悪化する中で、特定保健用食品に対する社会のニーズは着実に高まるだろう。新しい評価系を開発して、これまで開発できなかった医薬や食品に開発の道をつけるという事業を確実に前進させる年にしたい。

■ わが社は間違いなく飛躍する
(三共 杉村征夫副社長)
今年は、飛躍の年だ。「CS-505」(ACAT阻害剤)や「CS-747」(血小板凝集阻害剤)の成果しだいだが、間違いなく三共は飛躍する。

■投資家の満足度を高めたい
(アンジェスMG 山田英社長)
今年は正念場の年だ。これまで2年間は堅実にプロジェクトを前進させることで投資家の信頼を得てきたが、これからはプロジェクトをただ前進させるだけで投資家が満足してくれるとは考えていない。その状況をブレークスルーするために、経営的な観点でいろいろ仕掛けていきたい。

■センダイウイウルスベクターの臨床試験が始まってほしい
(富山県衛生研究所 永井 美之所長)
センダイベクターは国内外の多くの人々に愛され育てられている。生みの親としてはヒトデの検証を切に期待する。

■ たんぱく質マーカーが臨床診断へ飛躍する1年になる
(サイファージェン・バイオシステムズ 佐伯広幸社長)
2005年のキーワードは、”Translation"。弊社のプロテインチップシステムが、バイオマーカー探索のためのコアテクノロジーから、臨床診断のためのキーテクノロジーへ飛躍するうえで非常に重要な一年になります。

■ RNAの構造から見つかる新しい機能が楽しみ
(千葉工業大学工学部生命環境科学科 河合剛太助教授)
 昨年はRNA分子の重要性が広く認識された年だったと思う。今年はその実体を肉付けしていきたい。RNAの構造から見出される新しい機能を楽しみにしている。

■ 再生医療製品が発売される
(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 大須賀俊裕専務)
歴史的な年!J-TECにより日本で始めての再生医療製品(培養表皮)の販売が始まる

(順不同)

 コメントお寄せいただいた皆様ありがとうございました。