午後3時にBosotnのLogan空港を飛び立ち、東部時間の9時半(現地時間は6時半)にSan Franciscoに到着しました。公式にはこのころ、米軍及び連合軍のイラク攻撃が始まったタイミングです。9.11で失われた米国の威信を是が非でも、仮想敵国を作ってでも晴らしたいという現政権の意思を感じます。
 当地は雨、少し肌寒い感じです。しかし、夕食に入ったバーでは、皆、TVのバスケットボール試合に夢中で、時々、クウェートからのニュースが、この国が本当に戦争を始めたことだけを物語っています。
 テロでの警戒が、イエローからオレンジにレベルが上がった為、きっともの凄くセキュリティ・チェックに時間がかかるだろうと空港に早くつきましたが、拍子抜けするほど。預け入れした手荷物はまったく調べず、妙に不安になるほどでした。
 唯一変わったことといえば、靴を脱いで、その靴をX線検査に掛けてこと位でしょうか。後はイエローの時と同じように、金属探知機によるボディチェックがあります。もうすっかり慣れて、流れ作業のように進んでいきます。
 SFに着いて、当地の友人が教えてくれましたが、米国市民は戦争によって米国軍人の死者がほとんど出ないと期待していることが、今回の戦争支持63%といった世論調査の背景にあるようです。戦争の行方を左右する破滅的な米国軍人の死者の数を問うたメディアの調査では、数十人という答えが多かったようです。アフガンでも20数人しか死傷者は出ていません。もし、イラク戦で3桁の死者が米軍に出れば、反戦運動が起こり、ブッシュ退陣となりかねません。
 米国にいて、この国がとても戦争をしているような緊張感を感じないのは、近代兵器とITを駆使したバーチャルな戦争(自国には被害がほとんどない戦争)を米国が完成させてしまったことと無縁ではないでしょう。今やこの国にいると、まるでゲームのシミュレーションのように、自分の身を危険に曝すことなく、征服欲求だけは満たすものが戦争であるという錯覚を覚えます。
 前々回の水曜日の小板橋メールでも少し触れていましたが、自分や自分の愛するものが死ぬ可能性と引き換えに戦うという生物学的なフィードバックが断たれたのが、米国の戦争です。もし、イラクでも、米軍の死者が数10人で収まれば、米国の世論はもはや世界中の米国の軍隊が出向いて世界の警察官と裁判官を行うという愚行を抑止するメカニズムを失うことになりかねません。つまり、次は北朝鮮ということです。
 まったく平穏で、いつもとなんの変化もないRedwood Cityで、それだからこそ、新しい戦争の形に慄然としています。一人の米兵の犠牲とイラクの市民の命の数にバランスなどある訳はないのですが。
 明日は、SFの湾岸の再開発をバイオで実現しようというプロジェクトを取材いたします。ではお元気で。

    宮田 満