
6人の教授達が創設したこのベンチャー企業の創設の目的は、ヒトES細胞樹立の基礎研究資金を早急に調達することが目的でした。「国の研究費の獲得には面倒な手続きが必要で、しかも判断が遅いから間に合わない」と創立者の一人、Goteborg大学Peter Eriksson氏の指摘を聞くと、これはまるで日本と同じじゃないか、と思わず苦笑いです。同氏は神戸の理化学研究所の笹井氏の研究室と共同研究を着手しています。また、現在、大学の倫理委員会に、同氏が樹立したヒトES細胞株を日本の自治医科大学に輸出する申請中であり、早ければ3月、遅くとも6月に、スウェーデンで樹立されたヒトES細胞を日本の研究者が使用することになりそうです。
わが国の発生・分化研究にスウェーデンは注目しています。今まで米国中心だったバイオの共同研究をこの分野では、変えてみる必要があると確信しました。
これから朝一番の汽車に飛び乗り、Lundに向かいます。ここでは既に胎児由来の成人神経細胞を患者に移植、パーキンソン病の治療を進めている研究者達に取材します。やっと頭の中で、細胞治療のイメージが形成されつつあり、彼らの臨床経験の取材は、患者さんの恩恵にどうやってつなげるのかという最終段階のイメージ形成に重要な意味を持つと期待しています。それでは皆さん、お元気で。(宮田 満@Goteborg)