レクメド社長の松本正氏が寄せた、新春所感を掲載いたします。2002年に来るべき、バイオ・ベンチャー投資の波の胎動と、その渦中にいる松本氏の決意が伺える抱負です。


 読者の新春の抱負や所感、今年への期待、計画をお寄せいただき、ありがとうございました。今回の抱負で最終回の掲載となります。来年も同様な企画を行いますので、どうぞ皆さん、ご期待下さい。ご協力に感謝いたします。
             Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満




 2002年という年は、私にとっても日本のバイオベンチャーにとっても大きな意味を持つ年になると思います。私どもの会社は、昨年初めて機関投資家の方々からの増資を賜り、会社公開への道を歩みだしました。会社を公開すということは常に一般の投資家の方々の期待に答えると同時に、投資家の方々の審判を真摯に受けることでもあり、そのことはとりもなおさず、常に成長を続けるたゆまない努力と、健全で透明な経営を世に示すことであると思っております。そして、そのような状態の中で経営者として選任いていただけるだけの自分にならなければならない何とも言えない重圧感を感じております。

 昨今、産・官・学挙げてのバイオベンチャー育成が叫ばれております。以前は少なかった、バイオ関係のインキューベーション施設も各地に作られ始め、懸案だった国立大学教官の兼業問題も改善されました。さらに、「ITの次はバイオとナノ」の掛け声の下、多くのベンチャーキャピタルがバイオに注目しています。今は、日本においても、ある程度の技術とビジネスプランが用意されれば、以前に比べかなり用意にバイオベンチャーを立ち上げることができ、資金供与をかなり受けることができるようになりました。その意味で、ようやく日本にもバイオベンチャーブームがやって来たことに素直に喜びを感じいております。

 ところが、この種のブームが時としてオーバーヒートすることが過去の日本には多くあったような気がします。ごく数年前にもITの分野でそのことが起きたような気がします。高額で公開した企業が毎日のように夕刊紙等で叩かれ、とうとう公開時の株価の数%になったしまったことは決して遠い昔の出来事ではありません。そして悪者になるのはいつも努力して公開した企業の責任者で、損をするのは一般投資家です。

 もちろん、投資という行為は、投資家自身がリスクを承知して行うものですから、最終的に投資そのものの損失責任を他人に転嫁できません。その意味で、今後公開されるバイオベンチャーの市場価値に大いに注目していきたいと思っております。同時に、自社に対しても多くの方々の評価にさらされることに最大限の責任を感じて止みません。

 最後に、私の友人が最近一部上場大手企業を辞めました。彼は奥様と一緒に自宅でバイオベンチャーを立ち上げました。彼は自分の人生をバイオベンチャーに掛けたのです。兼務とか出向ではなく退職し背水の陣で臨みました。私は、彼と奥様の不安ながらも真剣で輝く目を見た時に、是非この二人には成功して欲しいと思いました。そこには、ベンチャーを始めようとする人間に必要な本質があるように思ったのです。

 それは、自己責任での決断と困難に立ち向かう勇気です。そして、彼のような人間が日本でもベンチャーを立ち上げることができるようになった環境がすばらしいことであると感謝しました。そんな意味で、バイオベンチャーブームは大歓迎ですね。でも一旦バブルになってみんなに失望されたら、日本のバイオはもう二度と復活できなくなってしまうのではないかとの恐れを同時に持っています。皆に歓迎されるバイオベンチャーブームのために私に出来ることは何でもやります。以前、ある記者の方が、取材後記事の中で書いてくださったお言葉「まずは隗(カイ)よりはじめよ」が私は好きです。

               株式会社レクメド
                     松本 正