皆さん、明けましておめでとうございます。
 関東では雲間から姿を一瞬のぞかせた、曖昧模糊とした2002年の日の出となりました。心なしか滞在中のホテルの鏡餅も地味になった印象です。9月の同時多発テロ依頼、国内に旅行客が回帰したといわれていますが、深刻な不況の影響は、宿泊客の賑わいにも影響を与えているようです。
 2002年は、模索の年となるかも知れません。20世紀の高度成長型社会から、知識資本主義の時代に転換するために、わが国の国民や社会がギシギシと音を立てながら最終的な方向転換をせざるを得ないためです。
 人間は保守的な存在で、成功体験にすがりつく悪癖があります。日本が脅威の成長を成功させたのは、巷間いわれる日本型な組織のあり方や政府の”賢明な政策”、そして清潔な官僚群にあったという神話からそろそろ自由になる必要があります。
 異論もあるでしょうが、私には日本の成功は、朝鮮戦争と冷戦時に必要とされた日本の地政学的な位置、そして武装を放棄し、米国の軍事の傘の下で才能や資源を経済競争に投入できた稀有の幸運にあったと考えます。唯一、今までの神話に賛同する点があるとするならば、市民の識字率の高さに表れた教育投資の熱心さです。
 上記の条件は総て1991年のソ連の崩壊で霧散しました。昨年最もショックだったことは「先進諸国、いやシンガポールなどの中進諸国に比べても、この10年、教育レベルを低下させてきたのは日本だけだ」という発言を、国連のある機関の会議で聞いたことでした。なおかつ、日本の外務省の関係者などもこれを当然のこととして頷いていることにも衝撃を受けました。
 経済的に失われた10年といわれていますが、この10年間に私達はゆとりの教育という名の下に、手抜きの教育を行ってきた罪を犯してしまったのです。高校や中学の教育に比べ、見劣りすると10年以上も前から言われている、大学や大学院はなお更です。関西のトップの高校では、成績優秀者が直接、米国の大学に進学を希望する例が増えてきました。このままでは、21世紀型の競争である知的資本主義を担う人材の頭脳流出が深刻化するでしょう。
 WTOへの中国の参加、そして今年予定されるインドの参加は、今まで知的所有権を無視してきた20億人以上の民が、つまり地球の新たな3分の1の人口が、知的資本主義の競争に参加することを意味しています。
 わが国の研究者もこの事実を粛然と受け止め、教育システムの改革と自らの教育・研鑚に今年は努めるべきでしょう。創造性をどうやったら発揮できるのか?今までのように、創造性とは毛ひとつも関係のない、年齢や従順さだけで、ポストや研究費を分配する慣行は直ちに変更しなくてはなりません。
 2002年、もはや皆さんの前には道はありません。皆さん自身が、道を切り拓き、わが国が再び世界に貢献できるチャンスがある生命科学・バイオテクノロジーを強力に推進する時が来ました。
 Biotechnology Japanも皆さんを応援いたします。昨年、実験的に開始したバーチャル共同研究システム「iResearch」を今年は本格的に運用します。わが国独自のこのシステムを活用して、皆さんと一緒にバイオ研究を加速したと切望しています。
 2002年には、バイオ・ベンチャー企業の大型IPO(株式公開)も予定されています。世の中はもう音を立てて変化を始めました。まず、自分の人生と研究の棚卸をして、創造の海に向けて帆を揚げましょう。
 今年も皆さんのご成功とご活躍を心から祈念しております。

Biotechnology Japan Webmaster 宮田 満

PS
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