現在、米国で第四回米国遺伝子治療学会の参加中の琉球大学医学部解剖学第2講座の石田昭彦氏が、現地からBTJの読者に本日から報告する。同氏自身、遺伝子治療の研究を手がけており、専門家から見た、遺伝子治療の最前線をお届けする。


(報告)
 昨日の好天気とはうってかわり肌寒い中、3日目(6月1日)を迎えた。本日も午前8時からセッションが始まった。
 French AndersonやInder Vermaなど著明な研究者を目にするだけでも興奮してしまう。数々のワークショップ、一般講演、ポスターセッションなど昨日に引き続きにぎやかなディスカッションが行われていた。
 今回はAAV Vectorの演題が多いのに驚いた。遺伝子治療のベクターがレトロウイルス、アデノウイルスからAAVやnon-virus系に移行していることを痛感させられた。午後7時からのAvigen社主催のシンポジウムでは、パーキンソン病、血友病、代謝性疾患などの臨床、研究報告が行われた。国内では自治医科大学の小澤教授がAAV Vectorでパーキンソン病に対する遺伝子治療の研究で有望な成果をだしているが、今回の学会で刺激を受けた多くの研究者がAAVVectorに取り組み事であろう。ポスターの前で昨日のマリナーズの試合を観戦した話題で盛り上がっているグループもあったが、これもシアトルならでわのことである。
 本日は会場で米国の製薬企業、ベンチャーやベンチャーキャピタルの方々と話す機会を持ったので紹介する。
 昨日から企業人らしき面々が口演やポスターセッションで研究者をつかまえ、質問責めにしている姿を何度か見かけた。会場で何人かの企業関係者に話を聞いてみた。米国だけの事ではないが、幹細胞が見つかりそれを確実に培養、増殖させることが可能になった今日、細胞療法や再生医療が注目されてきている。米国では遺伝子治療自体をビジネスとしてベンチャーが次々と設立されたが、これからは遺伝子治療と細胞療法、再生療法を組み合わせた治療法を新たなシーズとして着目しているとのこと。
 市場性も大きく、より治療成績もあがるだろうと話していた。次のビジネスチャンス
を逃さないために新たなシーズ探しに奔走しているのであろう。また日本のバイオベンチャー企業について聞いてみた。日本の研究者はいい研究(ビジネスシーズになる研究)を行っている。しかし研究者自体がビジネスに対する考えが甘い。
 研究者がベンチャーを設立していく傾向にあるようだが、ビジネスという観念をきちんと理解していない日本人研究者が設立したベンチャーはほとんど生き残ることはできないだろうとショッキングなコメントをしてくれた。米国企業、ベンチャーにコンタクトをとってくる日本人研究者は結構いるようだが、まずビジネスプランのでたらめさ、甘さに失笑するとのこと。真のビジネスを理解した日本人研究者は少ない。現段階ではベンチャーを成功させたければ、研究者は研究に専念して、いい経営者を雇ってビジネスプランを持って駆けずり回ってもらうことだと話していた。
 日本の研究者諸君!
 こんなことまで言わせておいていのだろうか。当たっているだけに悔しい。(石田昭彦@Seattle)


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