バイオのダボス会議、BioVision2001(フランスLyon)は、2月10日夕方、3日間の討議をまとめた「Call for Action: BioVision World Life Science Forum 2001」声明を発表、全日程を終了した(声明の詳細に関しては続報する)。

 この会議は、最先端の科学者ばかりでなく、政治家、政府関係者、市民団体、農民、宗教関係者、そしてバイオ反対派のGreenpeaceまで一同に会し、バイオ技術の社会的受容を討議した。急速に進展するバイオ技術を社会に摩擦なく導入するために、関係者の知恵を集約する試みだ。また、発展途上国と先進国のバイオ技術移転に関する対立解消も今回の焦点だった。

 農業バイオと社会的受容のセッションでは、反対派のGreen AllianceのJulie Hill氏が、討議をまとめて報告するなど、反対派まで巻き込んだ討議のやり方は、わが国が学ぶ必要がある。もちろん、3日間の討論で合意は形成できないが、少なくとも今後検証すべき問題点と、正確な知識と認識を共有する発端となる。バイオの社会受容を議論すると、わが国では反対か、賛成か、の短兵急な色分けが行われ、結局、いがみ合うだけで終わることが多い。今回の会議はヨーロッパの政治的な成熟度を示したといえるだろう。

 最終日の今までの討議のまとめのセッションで、最後に会場からコメントしたのは、フランスの米国大使館の職員だった。「寄付行為ではなく、利益を追求する企業的な活動でも、発展途上国にバイオを移転できるはずだ」。今回の会議で米国の政治的な存在感は意識的に消されていたが、最後で一矢報いた格好だ。結局、今後のBioVisionの討議の対立軸の一つに、米国対その他の国があることがうかがえた。

 さて、日本はどうか。30人以上の参加者があったものの、BioVision会場で討議に参加したのは皆無。展示会場のセッションでバイオ産業人会議会長の歌田氏が講演したものの、BioVisonの招待後援者はいなかった。日本の政治的なプレゼンスは無かったといえるだろう。

 次回のBioVisionは2003年4月7-9日、フランスLyonで開催される。政治的に子供扱いだった日本は、議論の輪に今度は入らなくてはならない。組換え農産物の受容の失敗から、技術だけでは、バイオテクノロジーの産業化不可能であることは明白だ。市民や国際社会との対話のやり方をこの会議から我々はもっと学習しなくてはならない。(宮田 満@Lyon)


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